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トミー・ジョン手術ちょっと待った!
大谷翔平、完全復活へ熟慮すべき。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2018/09/07 15:00
テキサス・レンジャーズ戦、8回にホームランを打った直後の大谷翔平。
「多少張りがある」だけのはずが……。
「大谷はきょう午後MRI(磁気共鳴画像)検査を行い、右肘の側副靭帯に新たな損傷があることが発覚した。医師からは手術を勧められている」
トミー・ジョン手術(靭帯再建手術)の可能性を示唆する発表が試合前にあったのである。
3日(現地時間2日)のアストロズ戦で88日ぶりの復活登板を果たした大谷は2回3分の1、49球を投げたところで突然降板していた。
心配されたのは1、2回と150キロ後半を連発していた投球内容が、3回になると突然、スピードダウン。150キロ台が全く出なくなってしまったことだった。
球団からは1回からあった右腰の張りと2回に打球を右手で捕りにいって痛めた薬指の付け根の腫れが強くなったことが降板理由と説明された。翌日に報道陣に囲まれると「多少張りがあります」と答えていたというが、問題ははるかに深刻だったのだ。
「グレード2」の微妙な診断とは?
「張りはしばらく投げていないことによるものと大谷は考えていたようだ。だが張りが引かず、検査を受けたら、こういう結果になった」
試合前に苦渋の表情でマイク・ソーシア監督は経緯を説明している。
見つかった靭帯の損傷がグレード2なら前回と同じカテゴリーだが、このグレード2は症状の幅が広い。グレード3は完全に靭帯が断裂していることを意味するので、ちょっとした傷から断裂はしていないがかなりの部分に傷が入っているケースでもグレード2のカテゴリーに入ることになる。
ただエンゼルスの発表では「医師が手術を勧めている」ということからすると、そこまで深刻なものではなく、再びPRP(多血小板血漿)療法での治療も選択の範囲にある程度の損傷、と推察されるわけだ。