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浅野拓磨が忘れない2つの約束。
本田の魂、ランゲラックとの再会。
posted2018/09/05 08:00
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph by
Getty Images
ジャガーが約束を果たすため、再スタートを切った。
浅野拓磨。23歳。ロシア・ワールドカップでは、井手口陽介とともにバックアップメンバーとしてチームに同行。先輩たちに思いを託し、逆に日本代表の未来を託されたストライカーは、「サランスクの奇跡」と呼ばれたコロンビア戦勝利の翌朝('18年6月20日)、カザン空港にいた。
歓喜の瞬間を輪の外から見届けた後、チームから離脱。この苦い味を絶対に忘れない――。自分の心に碇でも下ろすかのように言った。
「日本が勝利したことは何よりうれしかったし、喜びが一番にきたというのは正直なところ。それと同時に、ああいう姿を見ると悔しさが沸々わいてきた。今感じているのは、『絶対に次のW杯は出なくちゃいけない』という強い気持ち」
その目はギラギラと磁気を放っているようだった。一方で託した思いもあった。
「なによりも日本を代表しているメンバーなんだという自信を持って全力で戦ってほしい」
先輩が背中で語る至高の時間。
日の丸を背負う誇り――。リオデジャネイロ五輪では託され、ロシアW杯では託した。ただ、それだけではなかった。
バックアップメンバーの立場であるため、紅白戦に入れないこともあった。自身の練習強度は減る。事前キャンプ、W杯直前まで居残りトレーニングが日課だった。そこには、「おっさん」と呼ばれた先輩たちが背中で語る“至高”の時間が存在した。浅野は言った。
「練習が終わってもひたむきにシュートを打ち込んでいる姿だったり、走っている選手がいたり、ジムでトレーニングしている選手がいたり。海外でプレーして自分なりに(トレーニングを)やってきたつもりでいましたけど、そういう姿を見てまだまだだな、自分はまだまだ未熟だなと感じました」