月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
平成最後の高校野球、美談と正論。
猛暑、球数を問題提起した東スポ。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/09/03 08:00
金足農・吉田輝星の球数や酷暑問題……。2018年夏の甲子園ほど、メディアの見識を問われた大会はなかっただろう。
東スポは高野連事務局長に直撃。
高野連の竹中雅彦事務局長は東スポの直撃に、
「プレーヤーズファーストですよ。選手が第一。大人の考えはあっても選手はどうなのか。選手がどうしても甲子園で、というならそれもプレーヤーズファーストなので難しいですよね。」
「これだけ長く続いてきた大会。でも歴史とともにルールも変わってきているので変えるべきところは変えないといけない。」
「申し訳ないけど、今年は変えられない。でも来年以降はあらゆる可能性を視野に入れて検討していかないといけないのは事実です。」
とコメント。これがネットでも広く読まれたことで東スポは次に球児に直撃した。
猛暑甲子園、球児にアンケート。
8月4日付の一面。『殺人猛暑甲子園 球児ナマ声 緊急アンケート ドーム移転あり?』
殺人猛暑とは東スポらしいが、よく言われる「ドームでやればいい」という意見に対して肝心の球児はどう思っているのか? 確かに知りたい。よくぞ聞いてくれた。すると、
「小さいころからの憧れなので、甲子園でやらないと意味がない。僕は実際に熱中症で倒れたこともありますけど、甲子園じゃないとやっぱりダメ。ベンチにクーラーは効いてますし、自己管理が大事だと思う」(全国制覇の経験もある強豪校の選手)
「県大会では熱中症は出なかったけど、足をつるのはもうどうしようもない。正直、ちょっと不安はあります。夏の甲子園でやるために練習してきたので別の球場になるのは反対だけど、ナイターはありかも。プロ野球みたいでかっこいいし、思い出にも残ると思う」(連日記録的な猛暑日が続いた北関東地区の選手)
なかには「僕はこだわりはないです。西武ドームを“西武園”という名前に変えてやればいいじゃないですか」との珍回答も。
《結局、選手50人の回答は「甲子園でやるべき」が47人。「球場にはこだわらない」が3人で「ドーム球場に変更すべき」は0人だった。実に「94%」という圧倒的な支持率で、甲子園での開催継続を望む声が多く聞かれた。》(東スポ)
やはり選手は甲子園でやりたいのだなぁ。それがしみじみよくわかった記事だった。