リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ラウール、バルデスが育成指導者に。
いつか監督として再び大舞台へ。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2018/08/31 11:15
指導者としてのキャリアをスタートさせたラウール(左)。自らが育ったレアル下部組織でどのような道を歩むか。
インスタでひっそり引退発表後。
果たして2016-17シーズンいっぱいでミドルズブラを退団したバルデスは、その後ほとんど公の場に姿を現わさなくなった。
そして今年1月、地平線に向けて伸びる田舎道の写真に「いろいろありがとう」のひと言を添えて、インスタグラムでひっそりと現役引退を発表した。同時に過去の投稿画像をすべて消去し、ツイッターのアカウントも削除した。
それなのに、自ら改めてスポットライトの当たる場所へ立とうとしている――。
リーガファンにとっては嬉しい心変わりである。
そんな2人が初めて挑んだ大会が「マドリー・ユースカップ」だった。
マドリーのU-15を率いたラウール。
ラウールが指揮したのはR・マドリーのU-15(カデーテB)。試合中、彼はほとんどベンチに座ることなくサイドライン際から選手を鼓舞し、指示を出し続けた。
「外から攻めて! サイドから崩せる!」
「パス、パス、パス!」
ただし必要以上に声を荒げることはなく、派手な身振りもなし。印象的だったのは終始優しい父親のような態度で選手に接していたことだ。
試合の方は初戦でガンバ大阪と引き分け、続くアルコルコン戦には敗れ、グループステージ敗退となってしまった。が、新監督にとってはチームのポテンシャルや課題の把握に役立ったことだろう。
これに対し、バルデスが率いたマドリード市内の地域クラブ、モラタラスのU-19(フベニールA)はグループステージを首位で勝ち抜け、決勝戦では日本の横山杯U-17選抜を1-0で下して優勝した。
バルデスの様子はというと、立っている場所がゴール前からサイドライン脇に変わっただけで、ピッチ上の“仲間”を見つめる表情や、両腕を大きく動かし熱のこもった声で指示を飛ばす姿は現役時代そのままだ。