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ルメールが1000万下でガッツポーズ。
WASJは騎手にとって重要な大会だ。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/08/27 13:00
競馬において、騎手が明確に主役になる日は少ない。それだけにルメールも喜びを爆発させたのかもしれない。
初日を終えてJRA勢がワンツー。
2018WASJ初日を終えた時点でのポイントランキング上位は次のようになった(レースごとに1着30点、2着20点…中略…9着2点、10着以下1点が加算される)。
1位 武豊(JRA)38点
2位 クリストフ・ルメール(JRA)32点
3位 ラファエル・ベハラーノ(アメリカ)22点
4位 シェーン・フォーリー(アイルランド)21点
5位 戸崎圭太、福永祐一(ともにJRA)16点
WASJ2日目の8月26日、日曜日。この日も「モレイラ祭り」がつづいた。
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第1、6レースを勝つと、第10レースのWASJ第3戦では、武豊との激しい叩き合いをハナ差で制して1着となり、ポイントランキング3位に急上昇した。
そして、第11レースのGIII、キーンランドカップをナックビーナスで優勝。これまでモーリスで香港のチャンピオンズマイル、サトノクラウンで香港ヴァーズ、ヴィブロスでドバイターフを制するなど、日本馬で海外のGIを勝ってはいるが、JRAの重賞勝ちは、意外にもこれが初めてだった。
「スタートが速かったので、逃げる形になった。ゴール前でも余力がありました。札幌はぼくにとって特別な場所です」
この日の4勝目、前日と合わせた2018WASJウィーク9勝目は特別な1勝となった。
1000万下でルメールがガッツポーズ。
さて、WASJ第3戦を終えた時点でも、まだ武が58点でトップに立っていた。2位は42点のルメール、3位は35点のモレイラ。残り1戦で、武を逆転して優勝できる可能性があるのは、モレイラまでだった。
最終レース、WASJ第4戦は、ルメールのスマートエレメンツが直線で鋭く伸び、2着を3馬身突き放して圧勝。ゴール後、ルメールは鞭を持った右手を、2度、3度と突き出した。彼が1000万下のレースでこれほど派手なガッツポーズをしたのは、おそらく初めてだろう。
この勝利で合計ポイントを72点とし、武を逆転したルメールが2018WASJのチャンピオンとなった。
「完璧なレースでした。いいポジションをとって、そこをキープできた。3、4コーナーで早めに動いて、長くいい脚を使ってくれた。(WASJを優勝できて)すごく気持ちいい。今年はラッキージョッキーでした。なまら嬉しいです」
と、最後は北海道弁で喜びを表現した。