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攻める瀬戸大也、再起の萩野公介。
アジア大会でWエースが問題解決中。
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph byAFLO
posted2018/08/24 07:00
8月22日に行われたアジア大会男子・競泳400m個人メドレーでは瀬戸が金、萩野が銀とワンツーフィニッシュを決めた。
見失いかけた爆発力を取り戻す。
過去の世界水泳選手権で400m個人メドレーを制したときも、前評判はさほど高くなかった。ただそれをはねのけるような勢いで前半から攻めていったからこそ、2度も世界の頂点に立ったのだ。
そして迎えた8月22日、アジア大会5日目。400m個人メドレー決勝で、またも瀬戸は前半のバタフライと背泳ぎを終えて1分59秒10と積極的な展開を見せる。平泳ぎでもトップをキープした瀬戸は、最後の自由形でもスピードが衰えることなく4分8秒79のシーズンベストでフィニッシュ。瀬戸の自己ベストが4分7秒99であることを踏まえれば、かなりの好記録だった。
「パンパシで後半に失速してしまった反省点も、平泳ぎの泳ぎ方を工夫することで克服できました。自分の中で前半から攻めることは当たり前になってきたし、手応えもあります。また後半の泳ぎや持久力の強化など、これからのトレーニングの方向性も明確に見えてきていると思います。自己ベストが出せなかったのは残念ですけど、2大会連続、長期間にわたっての試合のなかで、最後にシーズンベストで終われたのは価値があると思います」
前半から攻めるというチャレンジをすることで、一度は見失いかけた爆発力を取り戻すきっかけを手にしたのである。それだけではなく、自分がさらに上を目指すためのトレーニングの方向性まで見つけることができた。
瀬戸はこのアジア競技大会で、2年後に向けた大きな一歩を踏み出したと言えるだろう。
萩野はリオ五輪以来苦しんだ。
一方、萩野はリオ五輪以来、なかなか思うようなシーズンを送れていない。五輪後に右ひじの再手術を行ったことで冬の泳ぎ込みが不足。その影響は昨年の世界水泳選手権での400m個人メドレー6位という結果に顕著に表れてしまった。
もう一度、練習を積み直して再起を図りたかった今年は、年明け早々に体調不良で入院。約1カ月もの間、トレーニングを積むことができなかった。
そんな状況でも、日本選手権を制して代表入りを果たすと、少しずつ萩野に変化が見え始める。