Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保一監督が初めて響かせた怒号。
U-21はベトナム戦敗戦で目覚めるか。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2018/08/21 11:00
試合中、選手に指示する森保一監督。闘争心と冷静さを兼備してほしいからこその怒号だった。
こうしたミスは初めてではない。
このチームがこうしたミスを犯すのは、今回が初めてではない。
今年1月のU-23アジア選手権の準々決勝のウズベキスタン戦でも、ディフェンスラインからしっかりビルドアップしていくというチームコンセプトを遵守しようとするあまり、ゴール前でボールを失って、痛恨の失点を喫しているのだ。
もっとも、指揮官がハーフタイムに怒ったのは、失点したからではない。その後も相手の勢いに飲まれたまま、腰が引けたような戦いに終始したのだ。前半はほとんどワンサイドゲームだったと言っていい。
チームが勢いを取り戻すのは、後半に入ってからだ。
ハーフタイムに三笘薫と神谷に代えて前線に岩崎、中盤に松本泰志(サンフレッチェ広島)を投入。システムを3-4-2-1から4-4-2へと変更して前からの圧力と中盤の構成力を高めると、ようやくベトナム陣内でゲームを進められるようになり、ボールの奪い合いでも上回るようになる。
センターバックの原輝綺(アルビレックス新潟)は身体を張って相手のカウンターを防いだが、遠藤渓太(横浜F・マリノス)のシュートは相手GKに防がれ、コンビネーションによって崩した前田大然(松本山雅)のゴールはオフサイド。原のスルーパスが前線の上田綺世(法政大)に通った90分のた決定機はGKをかわした上田が足を滑らせてシュートミス……。
こうして日本は0-1でベトナムに敗れ、グループ2位で終わった。
相手ではなく、自分たちの問題。
21歳以下の日本に対し、ベトナムは23歳以下のチームにオーバーエイジまで加えている。1月のU-23アジア選手権で準優勝しただけあって、東南アジアのレベルアップを感じさせる成熟した好チームだった。
しかし、同じミスを繰り返す、球際で戦えない、というのは相手のレベルではなく、自分たちの問題だ。
「戦術うんぬんの前に球際で負けない」「コンセプトはあるけれど、ピッチ内で状況によってプレーする」といったことはチームの立ち上げ以来、森保監督が選手たちに問いかけてきた言葉。東京五輪代表の活動も、これが5回目。同じミスを繰り返す選手がいるなら選考から外さなければならないし、一方で、指揮官も選手への働きかけ方を変えなければならないだろう。