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G1優勝の棚橋弘至、充実した暑い夏。
オカダ・カズチカに勝つという決意。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/08/17 15:00
まさに決死! コーナーポストから場外の飯伏幸太に飛んでみせた棚橋弘至。
「エアギターが、錆びついていました」
この酷暑が続く夏、G1にエントリーされたツワモノ揃いとも言える20人のレスラーの中で、最後まで生き残るのは大変だったはずだ。
「エアギターが、錆びついていました。あまりにもやってなくて、チューニング不足で。でも大丈夫、これからガンガンかき鳴らしていくから」
棚橋は安堵感と嬉しさにほっとしたような笑いを浮かべた。
棚橋はいい顔をしていた。
17年連続で17回出場したG1の中で一番の充実感だったという。
2007年に永田裕志を下して初優勝したときよりも、2015年に中邑真輔を倒して2度目の優勝をした時よりも。
「これで終わったわけじゃない。棚橋、ご苦労さんっていう空気はやめてくれるかな。オレの夢はまだ続いているから」
トレンドに関係なく「オレはオレ」。
棚橋はこのG1の優勝で満足したわけではない。しっかりと前を見つめていた。いや、見つめ直していた。
「どんなトレンドがあっても、どんな形のプロレスが流行ってもオレはオレだって、オレがやっているプロレスが面白いって、胸を張れる。何でそうやって胸を張れるのか?
それをそうだって応援してくれるファンもいる。
いや、それは違うぞと言ってくれるファンもいる。
熱いじゃん。全員熱いじゃん。それが、プロレス界にとって必要なこと。だから、プロレス界には、オレが最も必要なんです」
来年にはプロレスラーとして20周年を迎えるエースは、武道館の初日で引き分けたオカダに改めて宣戦布告した。
棚橋は躊躇せずに1・4東京ドームでのIWGP王座挑戦の権利証の「防衛戦」の相手としてオカダを指名した。