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おかえりなさい、棚橋弘至――。
“G1史上最長の死闘”を徹底検証! 

text by

行成薫

行成薫Kaoru Yukinari

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photograph byEssei Hara

posted2018/08/16 19:00

おかえりなさい、棚橋弘至――。“G1史上最長の死闘”を徹底検証!<Number Web> photograph by Essei Hara

死闘を越えて掴んだG1王者の称号。最近燻り続けていた棚橋弘至が、久々に輝いた瞬間だ。

掌打を受け止めつつ前進した棚橋。

 序盤は棚橋が飯伏の膝を狙って攻勢に出る。だが、棚橋をフランケンシュタイナーでリング外に追い出した飯伏が、声援の後押しを受けてトップロープを掴む。会場の誰もがそれまで多用していたプランチャを予想したはずだが、飯伏はトップロープに飛び乗り、スプリングボード式のラ・ケブラーダを敢行。ギアを一段上げた動きを見せ、観客全員の度肝を抜いた。

 ダメージの濃い棚橋は、強烈な張り手で応戦。だが、その一撃が飯伏を“覚醒”させてしまう。

 鬼気迫る表情で掌打を打ち込む飯伏。だが、棚橋は飯伏の強烈な掌打を受けながらも、顔面を紅潮させ、全身に力を漲らせながら前進する。攻撃をしているはずの飯伏が、気圧されて後退するほどの気迫だった。

 形なんかどうでもいい。カッコよくなくてもいい。ただ、勝ちたい。棚橋の不退転の思いが、飯伏に傾きかけた流れを引き戻していく。

「人でなし」技のフルコース。

 だが、飯伏の勢いもすさまじかった。ハイフライフローで試合を決めにかかった棚橋を剣山で跳ね返すと、そこからは「人でなし」技のフルコースだ。前日のケニー戦でも使用したムーンサルトからのダブルニーを見せた時には、会場に戦慄が走った。

 槍投げ、ロープ越しの引っこ抜きジャーマン、そしてシットダウン式ラストライド。並の選手であればとっくに沈んでいておかしくない攻撃を棚橋はすべて受け切り、3カウントを許さない。

 飯伏は呆然としながらも膝のニーパットを外し、カミゴェの体勢に入った。決まっていれば、さすがの棚橋も沈んでいたに違いない。飯伏再びの「神超え」、そしてG1初戴冠は成っただろう。

 だが、棚橋はカミゴェの二連撃をネックスクリューで脱出。両者とも残された体力が少ない中で、最後の一撃を巡る駆け引きにもつれ込んだ。

【次ページ】 必殺技三連撃で飯伏をねじ伏せた!

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