格闘技PRESSBACK NUMBER
おかえりなさい、棚橋弘至――。
“G1史上最長の死闘”を徹底検証!
text by
行成薫Kaoru Yukinari
photograph byEssei Hara
posted2018/08/16 19:00
死闘を越えて掴んだG1王者の称号。最近燻り続けていた棚橋弘至が、久々に輝いた瞬間だ。
必殺技三連撃で飯伏をねじ伏せた!
競り勝ったのは、棚橋だった。
起死回生のドラゴンスープレックス・ホールド。飯伏は本能的に返したものの、それが精いっぱいだった。
棚橋がコーナーを駆け上がり、うつぶせに倒れた飯伏の背中に向けてハイフライフローを敢行。
一発では仕留めきれないと思ったのか、再びコーナートップに上る。亡霊のように立ちあがった飯伏に向かってハイフライアタック。
仰向けに倒れた飯伏に、トドメの正調ハイフライフロー。
幾多の強敵をマットに沈めてきた必殺技の三連撃で、棚橋はついに飯伏をねじ伏せた。武道館を揺るがす3カウントの大合唱の後、棚橋は拳を天につき上げた。
試合時間35分。
G1史上最長の死闘は、誰もが納得する完全決着となった。
なんとも表現し難い棚橋の表情。
試合後、勝者・棚橋には、G1覇者の証であるトロフィーと優勝旗が贈られた。
記念撮影が終わり、大会のアンセムが鳴り響く中、少しだけ「なにもない時間」が生まれた。モニターに映し出された棚橋の表情は、なんとも表現し難いものだった。充足感。勝利の喜び。重責を全うした安堵。いろいろな感情がないまぜになっていたのだろうが、筆者には、「ただいま」と言っているようにも見えた。
ファンたちの歓声と拍手の渦のど真ん中。新日本のマットのど真ん中。日本のプロレス界のど真ん中。
満身創痍のエースは、ついに帰還を果たしたのである。