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騎手22年目・秋山真一郎の忠実さ。
武豊の美しいフォームのように。 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2018/08/10 07:00

騎手22年目・秋山真一郎の忠実さ。武豊の美しいフォームのように。<Number Web> photograph by Photostud

アイビスサマーダッシュでは鮮やかに勝利してみせた秋山真一郎。会心の騎乗に新潟競馬場が湧いた。

GIホースに跨って感じたこと。

 当時、師匠から、あるGIホースの鞍上も任された。'97年の桜花賞馬・キョウエイマーチである。

 この桜花賞馬とコンビを組むようになったのは'98年のマイルチャンピオンシップから。ここでタイキシャトルの6着に敗れると、その後も阪神牝馬特別4着、ダートに挑戦したフェブラリーSが5着と、惜敗を繰り返した。

「それでも先生が乗せ続けてくださいました」

 すると、続く阪急杯(GIII)を見事に優勝。その後、2000年の京都金杯(GIII)も制すなど活躍した。

「GI馬は反応が違いました。若い時にこんなに素晴らしい馬の背中を経験させていただき、良い勉強になりました」

 それでもなかなかGIを勝つまでには至らなかったが、デビュー11年目、ついに大きなチャンスが巡ってきた。

 '07年のオークス。騎乗したベッラレイアは単勝2.6倍。1番人気に支持された。

「結果はハナ差の2着でした。1度は抜け出していただけに、悔しくてその晩は眠れませんでした」

'12年NHKマイルで念願のGI制覇。

 その後、再びGI制覇のチャンスが巡ってくるまでは5年の歳月を要した。

 '12年のNHKマイルC。デビュー16年目となった秋山騎手はベッラレイアと同じ平田修調教師が管理するカレンブラックヒルの手綱をとって挑んだ。ちなみに彼が戴冠を目指しGIに挑んだのは、実にこれが55回目の事だった。

 デビューから3連勝中のカレンブラックヒルは、単勝3.7倍の1番人気。果たして結果は2着に3馬身半もの差をつけての逃げ切り勝ち。楽勝とも言える着差ではあったが、これが初のGI制覇となったジョッキーは当時の心境を次のように語った。

「最後まで全く余裕はありませんでした。あれだけの差がついているのに、ターフヴィジョンを見る事すら出来ませんでした」

 憑き物がとれたように、彼はすぐにまた大レースの表彰台に上がる。同じ'12年の暮れ、ローブティサージュに騎乗して、阪神ジュベナイルフィリーズを優勝。自身2度目のGI制覇を飾った。

【次ページ】 今年もベテラン健在の手綱捌き。

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