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仏重賞制覇を呼び込んだ武豊、返し馬の極意。~「馬が歓声を確認したがっていた」とは?~
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2018/08/05 15:00
フランス・メシドール賞優勝のジェニアル。返し馬へ向かう際も、少しの間歩かせるなど工夫を施した武豊騎手。
ジェニアル(牡4歳、栗東・松永幹夫厩舎)が、フランス遠征でいきなり大きな結果を出した。パリ郊外にあるメゾンラフィット競馬場で行われたメシドール賞(7月22日、芝直線1600m、G3)で逃げ切り勝ちを収めたのだ。現地取材の平松さとしさんの報告によると、最後に馬場入りをしたジェニアルは、武豊騎手の判断でギリギリまでスタッフに付き添ってもらい、徒歩での「返し馬」を行ったという。馬の気持ちを落ち着かせたところで引き手綱から解放し、ゆったりとしたキャンターでスタート地点に到着したというのだ。直線競馬は、実戦の距離の分だけ返し馬の距離があり、過度のウォーミングアップになってしまう危険性を秘めている。そこを名手がうまくやったことも勝因の一つなのだろうと想像している。それにしても、日本では500万下の格付けにいる馬を連れて行っての重賞制覇は大快挙。適性を見極めることこそが海外で勝つための大きな要件であることを我々に教えてくれた。