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内田篤人が語る鹿島復帰から半年。
「今の状況に満足してないから」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/01 08:00
右膝にテーピングを巻きながらも健在な内田篤人。その立ち居振る舞いから、鹿島の若手が感じるものは大きいはずだ。
イヤ、勝たなくちゃいけないでしょ。
試合は1-1で終わった。右サイドに西と伊東というサイドバックふたりを並べたのは、守備だけでなく、攻撃の活性化を期待してのこと。それを踏まえれば交代策が功を奏したとは言い切れなかった。
とはいえ、終盤の猛攻をしのぎ、1失点にとどめたことには評価はできるだろう……。そう考えたが、内田は強い口調でこう話す。
「イヤ、勝たなくちゃいけないでしょ、本当は。アウェーでは、最後にああやって押し込まれるのは普通だから。そこをいかに跳ね返すのか? そうやって(鹿島は)勝ってきたから。
1点獲れたけど、そのあとあんなアンラッキーな形で点を入れられちゃったけど。それでも俺らは勝たなくちゃいけないから」
この節は首位広島、2位FC東京も敗れていた。首位争いを目指す鹿島にとっては何としても勝利したい夜だった。
「周りのチームは気にせず、自分たちが勝ち点をコツコツ上げていかないといけない。相手に関係なく、ホーム、アウェーに関係なく、自分たちは勝ち点3を絶対に持って帰らなくちゃいけない」
重ねた厳しい言葉には、チームに対してだけではなく、自戒の念が含まれているように思えてならなかった。
鹿島が受け継ぐ勝利への貪欲さ。
「チームを勝たせられる選手」
若い鈴木優磨や三竿健斗をはじめ、鹿島の選手の多くが、優れた選手についてそう表現する。「どんなに上手でも勝たせられるプレーでなくては意味がない」と。
このガンバ戦でも、20歳のセンターバック町田浩樹はゴールを決めたが「得点やアシストよりも、無失点に抑えるほうがうれしい」と話していた。失点しなければ「勝つ」ことに大きく近づくからだ。
久しぶりの先発起用だったものの、内田はチームを勝たせることができなかった。そのうえ90分間の出場も果たせなかった。そのことについて訊くと「悔しさはあるよ、もちろん」とこちらをしっかりと見返して言った。