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F1での跳ね馬復活の立役者、死す。
S.マルキオンネ、突然の訃報。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2018/07/29 09:00
昨年のUSGPでは元気な姿を見せていたマルキオンネ。各界から哀悼の意が表された。
巨大自動車会社を蘇らせた名経営者。
トロント大学などで学んだ後、会計事務所など複数の会社を経て、2003年5月に旧フィアットに取締役として入社。翌'04年6月には同社の最高経営責任者(CEO)に就任していた。
その後、業績不振だったフィアットの経営再建に尽力したほか、'09年に破綻したクライスラーとフィアットの提携をまとめ上げて、FCAを'14年に発足させ、初代CEOに就任した。
F1界でのフェラーリ復活の立役者。
また同時に、当時不振にあえいでいたF1のフェラーリを立て直すべく、'14年からフェラーリの会長とCEOも兼任。翌'15年にはフェラーリは3勝を挙げ、未勝利に終わった前年から見事な復活を成し遂げた。
この成功は前任のルカ・モンテゼモーロ体制が進めたイタリア中心の体制から、脱イタリアを図ったマルキオンネの手腕によるところが大きいと言われている。
マルキオンネは'19年4月でFCAでの職を辞する意向を示していたが、今年の6月以降は公の場に姿を見せておらず、心配する声が聞かれていた。
フェラーリに詳しいレース関係者によると、「昨年末に開かれたフェラーリ恒例のクリスマスパーティで、愛煙家で有名だったマルキオンネがまったくタバコを吸っていなかったため、周囲では体調を気遣う声が少なくなかった」という。
さらにこれまでフェラーリはF1のレースで優勝するといつも、マルキオンネの祝福メッセージをチームのリリースとして出していたが、7月8日のイギリスGPでセバスチャン・ベッテルが優勝した際、その配信がなかったため、イタリアのメディア関係者の間では大きな話題を集めていた。
マルキオンネの病状悪化と急逝は、そんな矢先の出来事だった。