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北朝鮮もアイスランドみたいに。
ヴェルディ李栄直がW杯で得た熱。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/07/27 08:00
鄭大世や梁勇基らJリーグの歴史を彩ってきた北朝鮮代表の選手たち。李栄直もその1人となれるか。
アジア杯で“やれるぞ”を見せる。
一方、代表での次の目標は、来年1月にUAEで開催されるAFCアジアカップ2019だ。北朝鮮は、サウジアラビア、カタール、レバノンと同組。なお、2015年にオーストラリアで行われた前回大会、北朝鮮は3敗でグループリーグ敗退となっている。
「自分たちの世代に入れ替わったのが、4年前のアジアカップでした。その意味では、これまでの集大成を見せる場になる。一戦ずつ懸命に戦い、決勝トーナメントに進みたいというのがリアルな目標ですね。優勝を口にできる立場ではないので。
ただ、やれるぞというところは見せないと、北朝鮮や在日同胞の方々が期待を寄せられなくなってしまう。なんたって、サッカーは国技ですから。そこでの結果を、やがて始まる次のワールドカップ予選につなげたい」
「僕は枠を広げないほうがいいと」
FIFA(国際サッカー連盟)は、2026年のワールドカップから従来の32カ国から48カ国に出場枠を拡大すると決定済みで、それが2022年のカタール大会に前倒しされる可能性が浮上している。夢の大舞台への距離が縮まるかもしれない。
「僕は枠を広げないほうがいいという考え。国と国の誇りを懸けて戦う大会を、そんな安いものにしてはいけない。苦労を重ねてようやく立てる場だからこそ、アイスランドのような魂の戦いが生まれる」
と、李はにべもない回答。
「次に代表に呼ばれたときは髪を黒くして、短くしておかないと。あっちではヘアバン禁止なんですよ」
そう言って、軽やかに笑った。