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イタリア全土がロナウドフィーバー。
彼はなぜ、ユベントスを選んだのか。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/07/25 08:00

イタリア全土がロナウドフィーバー。彼はなぜ、ユベントスを選んだのか。<Number Web> photograph by Getty Images

チャンピオンズリーグ(カップ)優勝13度のレアルに対し、ユーベは2度のみ。CL歴代最多120ゴールのC・ロナウドは悲願達成の使者だ。

伝説のオーバーヘッドでの拍手。

 ロナウドの気持ちをユーベ移籍へ大きく傾かせたのは、今年4月、CL準々決勝1stレグで、ユベントス・スタジアムの満員観衆が彼へ寄せたスタンディング・オベーションだ。

 その試合でCR7は超絶オーバーヘッド・ゴールを含む2得点の圧巻パフォーマンスを見せ、ユーベは0-3の完敗を喫した。スペイン国内はもちろん欧州中のあらゆるスタジアム同様、野次とブーイングを覚悟していたロナウドは万雷の惜しみない拍手を送られ、驚愕した。

 レアルと並び称される“老貴婦人”のファンは手厳しいことで知られる。その彼らから邪心ない称賛を受けたロナウドは胸を打たれ、“光栄です”と紳士的な返礼のパフォーマンスで応えた。

「もし移籍するならユーベだけだ、と代理人へ伝えていた。CLでのスタンディング・オベーションはとても特別な、素晴らしい瞬間だった。あの後で僕の気持ちは強まった」(会見でのロナウド)

 代理人メンデスは6月下旬に同胞DFカンセロのユーベ移籍をまとめた際、同幹部へロナウドの好感触も伝え、本交渉の下地を作っていたが、移籍成立へはレアルとの“密約”も後押しした。

欧州3大リーグ得点王の可能性が。

 ペレス会長はロナウドの移籍金の額を10億ユーロ、と表向き豪語していたものの、1月には現実的な算盤を弾き「直接の競合クラブでない場合、移籍金を1億ユーロに値引きする」という約束をメンデスと結んでいたのだ。

「クリスティアーノは、マンチェスター・Uでクラブ史上最高の選手になった。レアルでもそうだ。ここユーベでもきっとそうなる」(メンデス)

 クリスティアーノ・ロナウドは、ユベントスで何をしようとしているのか。

 もしセリエA得点王を獲れれば、イングランド・スペイン・イタリアの欧州3大リーグ得点王という金字塔だ。2シーズン前にFWイグアイン(当時ナポリ)が66年ぶりに塗り替えたリーグ年間最多得点記録「36」の更新も、ロナウドなら可能なのでは、と観る者に期待を抱かせてくれる。もちろんイタリア王者の証であるスクデットも彼の挑戦意欲を掻き立てる。

 しかし、本人もクラブも熱望するのは、やはりチャンピオンズリーグのタイトルより他にないだろう。

【次ページ】 ユーベと“ビッグイヤーの呪い”。

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