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16日ぶりにプロ野球が帰ってきた。
カープは広島の希望になるべく戦う。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2018/07/23 17:00

16日ぶりにプロ野球が帰ってきた。カープは広島の希望になるべく戦う。<Number Web> photograph by Kyodo News

巨人3連戦はいずれも劇的な展開で3連勝。最短で27日にも3連覇への優勝マジックが点灯する。

「あきらめない」男たちの姿。

 初戦は逆転サヨナラ2ランで試合が決まり、2戦目もビハインドから巨人のエース菅野を攻略した。3戦目は1発攻勢で最大6点ビハインドをひっくり返した。「あきらめない」勝利の裏には、諦めなかった男たちの貢献もある。

 3連勝の勢いをつけた下水流は昨年、5月以降二軍暮らしが続いた。「最後まで自分の形を見失ってしまっていた」という打撃を見直し、今季はすでに自己最多にあと1試合に迫る出場数を記録する。

 2戦目に菅野攻略の突破口を開いた西川龍馬も、今季は開幕直後から「野球人生で記憶にない」ほどの大不振に陥っていた。軸足重心の流れを変えるなど修正し、降格時.118だった打率は今では.297にまで上げた。

 3戦目の7回に上位打線を抑え、793日ぶり勝利を挙げたチーム最年長投手の永川勝浩は、この3試合すべてに登板していた。

はい上がってきた者とつかんだ勝利。

 永川は得点を奪い合う厳しい試合展開が続く中、3試合のいずれもシャットアウト。2戦目には、先発大瀬良大地を助け、試合の流れを巨人に渡さない見事な投球を見せつけていた。

 慢性的な左膝の痛みから納得できる動きができず一軍登板なしに終わった昨年、手術を行った。今年も二軍からスタート。6月に一軍昇格するも、若手が多い中継ぎの中で、その序列は最後列だった。そこから結果と信頼を積み重ね、今では勝利の方程式に組み込まれそうな立場にまで上がっている。

 はい上がってきた者たちとともにつかみ取った勝利から得られるものは、快勝から得るものとはまた違う。

 復興へ向かう被災地の姿が選手たちの胸を突き動かし、選手たちの戦う姿がまた被災地を勇気づけた。

【次ページ】 広島カープに、新たな使命が刻まれた。

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