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大谷、ダルじゃなくて松坂大輔を!
2018年オールスター観戦ぶらり旅。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2018/07/23 11:00
京セラドームの外は恐ろしいほどの酷暑。『めっちゃ果物ソーダ』(氷+ソーダ+果肉)のみかん味で、身体も心も涼しく!
昔なら大谷、ダル、田中が出たはず。
昔の夢の球宴は、今で言ったら大谷翔平、ダルビッシュ有、田中将大やマエケンらがみんな年に1度だけ京セラドームに集結してセ・パに分かれて戦うようなものだ。
そりゃあ盛り上がるに決まってる。
残念ながら、あの頃のオールスターの緊張感やスペシャル感を現代で再現するのは難しい。だからこそ、人々はその“90年代の残り香”を漂わせる松坂や上原の帰還に熱狂しているのではないか。
よく30代以上の野球好きと話すと「清原対桑田は熱かった」なんて言う。これが20代なら「ガキの頃に見た上原対イチローは凄かった」となる。
気持ちはよく分かる。
WBCもメジャー移籍もリアルじゃなかった頃は、国内ですべてのストーリーが完結していたわけだから。今はあらゆる物語が「アメリカでつづく」だ。
なら、2018年のオールスター戦はつまらなかったのか?
いや、ガチで楽しかった。
多くの球団の華やかなユニフォーム。
前売りでチケット完売した観客席は、各チーム色とりどりのユニフォームを着たファンたちが集結。外野席のカラフルな風景は壮観で、贔屓球団の垣根を越えて筒香嘉智や鈴木誠也のコールをして、柳田悠岐のフルスイングに球場全体がどよめく。
いわゆるひとつのフェス化であり、プロ野球のイベント化。
球場内売店には12球団別のヘルメットグルメやポップコーンまであった。子どもにはいいお土産になるだろう。せっかくだからカップルや家族連れに混じって列に並ぶ。
えっと巨人のメニューは“冷やし唐揚げ”か……。そうか最近の不祥事に頭を冷やして反省的な……じゃなくて、ちょっと食べる気がしない。
同じく650円、思わずロッテの“雪見大福チョコパフェ”に浮気してしまった。
それにしても球場で食べるアイスはなんでこんなに美味いのだろう。一昔前のスタジアムグルメは雑だった。あの頃は良かったというロジックは単純すぎる。昔よりよくなったところもあれば、その過程で失ったものもある。
どちらにせよ、前に進まなきゃならない。