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イチローも「地味すぎて……」。
平野佳寿の“滋味”溢れる大活躍。
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byAFLO
posted2018/07/19 08:00
前半戦は46試合に登板して2勝1敗21ホールド、防御率は2.20。41回で37奪三振を記録している。
20種類のメニューをこなし、試合へ。
試合終了後の平野は、他の投手が帰路に向かう頃になってようやく自分のロッカーに戻って来る。気付けば、見慣れた肘と肩のアイシングを施していない。理由は、今春から本格的に採り入れた交代浴で入念なクールダウンを行っているからだ。
オリックスで2016年から2年間コンディショニングを担当し、平野と共にダイヤモンドバックスに来たトレーナーの丸山哲氏によると、温水1分、冷水1分を交互に入り、これを数回繰り返す。温水と違い、冷水は腰まで浸かり、全身を沈めるのは少しだけ。日本時代は大きな浴槽の隅に張ったビニール製のプールに冷水を入れる手間を強いられたが、米国では遠征先にも冷水が常設され、平野はこのリカバリー法を享受している。
異国に来ても「まったく変わりはない」と話す試合前の準備では、体幹にポイントを置いている。臥位、立位での前後左右のバランスを確認しながら行う20種ものメニューを消化してから、フィールドに出ていく。練習前のクラブハウスで彼の姿をほとんど目にしないのはこのトレーニングを徹底しているからだ。
今季メジャー最長の26試合連続無失点の偉業は、独自のコンディショニングと確立したルーティーンが下支えしている。
不測の登板からも学べることが。
7月11日、ロッキーズの猛打が爆発し、序盤で大勢が決まった展開でダイヤモンドバックスのブルペン陣は早々に稼働。前の投手が首の痛みで続投できず、平野の出番は想定外の4回。
「余裕ぶっこいてました」
いつもの準備もままならずマウンドに上がり、長短4連打を浴びて降板。土を蹴り上げ、珍しく感情を露にした。
「しっかり整理して(マウンドに)行くのが大事というのが、今日で分かった」
打球が飛びやすい高地デンバーのクアーズ・フィールドで直面した不測の登板で、また1つ引き出しの増えた平野佳寿は、20日からロッキーズとのカードで後半戦に挑む。