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クロアチア、死闘制し20年ぶり4強!
モドリッチ&ラキティッチこそ心臓。
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2018/07/08 11:45
ロシア戦のマンオブザマッチに輝いたモドリッチ。試合後には子どもたちと喜び合う愛くるしい光景も。
エースの働きに触発されたチームも動く。
モドリッチは歩みを止めない。延長後半開始2分には、相手ゴール前で、ゴール保持者に単独で猛チャージ。最後まで戦う姿勢を示し続けた。
ただし、心臓が動いているだけでは、プレーは完結しない。大事なのは、このエースの働きに触発されたように、チームが動くことである。
3分で追いついたラウンド16のデンマーク戦同様、今回も先制点献上の8分後に試合を振り出しに戻した。時計の針を、前半39分に戻そう。DFの間を抜いたマリオ・マンジュキッチのクロスに頭で応えたのは、今大会まだ得点がなかったアンドレイ・クラマリッチだった。
逆転ゴールを奪ったビダは、本来はCB。ブルサリコの交代に伴い右サイドに移ると、不慣れながら攻め上がりを披露し、自ら得点を決めることになるCKを奪った。
そして、GKのダニエル・スバシッチ。89分におそらく肉離れのような筋肉系のトラブルで右腿裏を痛め、一時は交代もやむなしかと思われた。だが不屈の闘志でプレーを続行したおかげで、負傷のブルサリコに交代枠を残せた。FKから2点目を奪われたものの、PK戦でのセーブですべてを帳消しにした。
「よく戦ったロシアも祝福したい」
そのPK戦、勝利を決める最後の1本を冷静に蹴り込んだのは、ラキティッチだった。ダブルエースの1人がクールに、熱闘に終止符を打ったのである。
「私の選手たちだけではなく、よく戦ったロシア代表のことも祝福したい。美しい試合などではなく、これは戦いだった。準決勝を争う戦いであり、我々には運があった」
普段は涙など見せないというズラトコ・ダリッチ監督が感極まったのは、結果ではなく選手たちの働きぶりに対してだった。
「僕らはまたしても、個性を示すことができた」とモドリッチ。初出場で3位に輝いたフランス大会での先達に並び、さらに追い越すまで、選手たちは足を止めない。