ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
オカダ戦は、まるで『七人の侍』!
鈴木みのるが白い衣装に込めた思い。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byMasashi Hara
posted2018/07/06 10:30
鈴木みのるの30年が詰まったオカダ・カズチカとの戦いは、見る者の心に何を残したのだろうか。
新日本での“白”は実は一度だけ。
'11年に新日本に本格参戦し、鈴木軍を結成してからは、意外なことに今回のオカダ戦まで、白コスチュームを着用したのは一度しかない。それが'15年の1.4東京ドームで行われた桜庭和志戦だ。
当時、新日本のリングではトップクラスで試合をしていなかった桜庭との試合で、鈴木が特別な白を着用したのは、鈴木がプロレスラーの中で誰よりも、桜庭の総合格闘技での実績を認めていたからだ。
「俺はあいつのことを一切ナメちゃいない。“世界の桜庭”と闘うつもりで練習を積み、リングに上がったんだ」
白のコスチュームは、鈴木にとって正装中の正装。
パンクラス時代、総合格闘技の先駆者として、格闘技の厳しさを身をもって体験している鈴木は、プロレスラーでありながらPRIDEの英雄となった桜庭に対する最大級のリスペクトの証として白を着用したのだ。
そして今回のオカダ・カズチカ戦も、おそらく同じような意味合いがあったのだろう。
ヒールである鈴木みのるは、対戦相手を認めるような発言をすることはほとんどない。
しかし、鈴木のオカダに対する評価と思いは、あの白コスチュームがどんな言葉より雄弁に物語っていたのである。