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畑岡奈紗の偉業にもっと注目を!
メジャー優勝目前まで迫れた理由。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byAFLO
posted2018/07/03 07:00
サッカーW杯の話題で取り上げられ方が小さいが、畑岡奈紗の躍進は日本女子ゴルフに残る偉業だ。
「厳しい条件でお見事、の一言」
「同じ8アンダーでも意味合いが違う」
ニコラス氏はこう指摘した。
「トッププレイヤーは、メジャー大会にコンディションを合わせてきます。コースもメジャー特有の難しいセッティングです。天候も厳しかった。35度の猛暑の中、風が吹き荒れてました。さらに、アーカンソーで初優勝したことで、周囲の期待値が上がる。自分自身にも過剰に期待するかもしれない。そんな条件下で優勝争いしたんですよ。Spectacular(お見事!)の一言」
つまり、KPMGでの8アンダーは「プレッシャーがかかる大舞台で力を発揮できる」ことを示した。アリヤ・ジュタヌガーン(タイ)、リディア・コ(ニュージーランド)ら世界のトップレベルの若手と対等に戦える日本人選手が出てきたことをベテラン記者が認めた。
プレーオフは、ユ・ソヨン、パク・ソンヒョンという韓国勢のメジャー覇者との対戦だった。
初めてメジャーのプレーオフに挑んだ19歳にも勝機はあるとニコルス氏は感じていた。
「アーカンソーの勝ち方で強い選手と分かったので、変なプレッシャーで自滅することはないだろうと」
プレーオフも「怖いものはない」。
メジャー覇者とのプレーオフについて、畑岡自身は「緊張感はすごくありましたけど、逆にいえば、私はメジャーで勝ったことがないので、何も怖いものはない」と挑戦者の気持ちで臨んだと言う。
悲願の41年ぶりの日本勢のメジャー制覇まで、本当にもう一歩だった。
ニコルス氏は、畑岡のプレースタイルを讃える。
「奈紗のパワフルなスイングは、ちょっとブルック・ヘンダーソンを彷彿させます。2人とも小柄だけど、よく飛ばしますね。体格に恵まれてる選手に全く負けてないですから」
畑岡はアーカンソーで初優勝して「(米女子ツアーに)日本人が少ないので、日本をどんどん盛り上げるためにも私が頑張りたい」と力強く言った。
158cmの小柄な19歳は、限りなく頼もしい。