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ロシア「不作の世代」が意地の躍進。
開催国でも手のひら返しがブームに。
text by
篠崎直也Naoya Shinozaki
photograph byGetty Images
posted2018/06/29 08:00
大会前は出場国中FIFAランキング最下位など、評価は散々だった。しかし開催国ロシアの健闘ぶりに、地元も沸いている。
走るスタイルはスペインに通じるか?
現地紙「スポルト・エクスプレス」はワールドカップにおける歴代ロシア代表監督の戦績をリストにし、「チェルチェソフは最も優れた指揮官。練習では皆から拍手で迎えられ、今やずっと笑顔を見せている」と、その歴史的偉業を紹介している。
また、元代表MFのワレリー・カルピンが口ヒゲを生やした姿をSNSに投稿するなど、チェルチェソフ監督のトレードマークである口ヒゲがブームに。老若男女問わずそれぞれがオリジナルの口ヒゲを披露し、話題にもなっている。
大会前の代表を知る者にとっては、まるで夢を見ているかのような突然の躍進。それを支えているのがフィジカル面での調整の成功だ。中盤での絶え間ないプレスを可能にする走力を備えた、ゾブニンやゴロビンに代表されるように、全員がよく走り球際での強さを見せている。もちろんそれは国民の大声援が彼らの集中力を高め、後押ししていることもあるだろう。
初戦で警告を受けたゴロビンら数人の主力を入れ替えた第3戦ウルグアイ戦は、序盤の失点とDFスモルニコフの退場が響き0-3で敗れた。とはいえ、すでに決勝トーナメント進出を決めた後の試合だっただけに、評価は難しい。
16強進出は快挙には違いないものの、実質的には格下のサウジアラビアとFWサラーが怪我明けで万全でなかったエジプトには、勝つべくして勝ったという意見もある。つまり、ロシア代表の真価は決勝ラウンド1回戦のスペイン戦で測られることになる。
もちろん、ロシア代表のおとぎ話がもう少し続くことを、全国民が願っている。