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ロシア「不作の世代」が意地の躍進。
開催国でも手のひら返しがブームに。 

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篠崎直也

篠崎直也Naoya Shinozaki

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posted2018/06/29 08:00

ロシア「不作の世代」が意地の躍進。開催国でも手のひら返しがブームに。<Number Web> photograph by Getty Images

大会前は出場国中FIFAランキング最下位など、評価は散々だった。しかし開催国ロシアの健闘ぶりに、地元も沸いている。

サウジ戦5-0で国内の空気は一変。

 結果的に、チェルチェソフの最後の賭けは、恐ろしいほど見事に的中した。

 大会の盛り上がりを左右するサウジアラビアとの開幕戦ではガジンスキが貴重な先制点をもぎ取り、MFザゴエフの負傷で途中交代した、フィールドプレーヤーとしては唯一国外でプレーするMFチェリシェフ(ビジャレアル)が2得点と爆発。期待されていたジュバ、ゴロビンにも得点が生まれ、5-0の圧勝劇に国民は歓喜に沸いた。

 この勝利により国内の空気は一変する。

 サッカーの話題は至る所で会話の主役となり、レアル・マドリー出身のチェリシェフの経歴や、ユベントスやバルセロナがゴロビン獲得を狙っているとの話を得意げに披露する流れは、すでに定番となっている。

「初めてサッカーの試合を90分通して見た」という女性も多く、第2戦の相手エジプトのエース、モハメド・サラーの名前が流行語として広まるなど、もはやワールドカップは国民的な関心事となった。

 アイスホッケーのスター選手アレクサンドル・オベチキンが「サッカーロシア代表の応援で白髪が増えた」と心労を語るなど、各界からもコメントが寄せられている。

指揮官を「あなたは宇宙だ」と称賛。

 決勝トーナメント進出を懸けたエジプト戦も、勢いを失わなかった。初戦に続き得点を決めたチェリシェフとジュバがシンデレラボーイとなり、3-1というスコアでソ連崩壊後のロシアとして初めて決勝トーナメント進出を決めた。

 翌日のニュースは、ロシア全土で明け方まで繰り広げられたお祭り騒ぎを何度も報じていた。エジプト戦のテレビ視聴率は44.7%を記録。ロシアが金メダルを獲得した今年の平昌冬季オリンピック男子アイスホッケー決勝の32.7%を大きく上回り、「サッカーの国ではない」とまで囁かれたロシアでのサッカー人気の高さを証明する形となった。

 この試合の会場となったサンクトペテルブルクには「スタス(チェルチェソフの愛称)、あなたは宇宙だ」と神懸かった采配を見せる指揮官を称賛する壁画が登場。これまでの批判を素直に謝罪する専門家も続出した。

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