濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
狂気と流血のデスマッチで「生きる」。
竹田誠志と木高イサミの人生ドラマ。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2018/06/26 16:55
死闘の後、リング上で竹田誠志に深々と頭を下げて退場していった木高イサミ。
デスマッチは彼らの生きる証だった。
「プロレスやってりゃドラマはついてくるって。でも、俺たちインディーのドラマは拾ってもらえない。だから自分で発信していくしかない。もっともっと血を流して、汗かきますよ。じゃなきゃ俺たちの声なんて届かない」(イサミ)
実は「試合開始と同時に自分の頭で蛍光灯を割った意味」と「あしたのジョー最終回オマージュ」は、イサミ自身がツイッターで説明していたことだ。
伝える、届ける、分からせる。
そのための言葉だし、デスマッチファイターが血を流す意味もそこにあるのだろう。
「しんどいけど、生きてる感じがしますねぇイサミさん」と竹田は言った。敗れたイサミは「まだまだやることが多いっすね。デスマッチやりながら“死んでられんな”って思いましたよ(笑)」。
生きている証としてのデスマッチ、とでも言えばいいだろうか。この日の2人の「俺はこのリングで生きている」という叫び声は、それはもう大きなものだったのだ。