ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
トルシエが脱帽する西野采配。
「柴崎や乾の先発に意志を感じた」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2018/06/24 07:00
コロンビア戦で勝利を掴み取った西野朗監督。セネガル戦でも的確な采配を見せてくれるか。
2010年ワールドカップを思い出した。
「チャンスを逃さずにモノにした日本は勝利に値した。11人対10人の優位はあったものの知的で決意にあふれ、とても攻撃的だった。そして自らの長所であるコレクティブなプレーを披露した。両サイドの長友と酒井は高い位置から攻撃を仕掛けて……」
――聞いている限り……つまり、西野ジャパンは急激に進化したということですか?
「もちろん11人対11人だったらどうなっていたかはわからない。それはわからないが、今日の試合はこれまでのテストマッチとはまったく異なっていた。
このチームを見て私は2010年ワールドカップを思い出した。まったく同じことが起こっているように思える。大会前は誰もが日本に不安を感じ、危機的な状況にあった。だが、カメルーン戦の勝利が、南アフリカワールドカップを素晴らしい大会へと変えた。それと同じ感覚を私はこの試合で覚えた」
柴崎や乾の先発に感じた強い意志。
――シナリオは同じかも知れませんが、プレースタイルは異なります。岡田ジャパンが極度に守備的であったのに対し、西野ジャパンはずっと攻撃的です。
「その通りで、柴崎や乾を先発させたところに彼の強い意志を感じる。柴崎は攻撃的なミッドフィールダーで守備の専門家ではない。クリエイティブなプレイヤーで、素晴らしい出来だった。それは大迫も同じだ。
私がアディダスとのコラボレーション企画で、どんなメッセージを発したか知っているか? 『ひとつになろう』というのが、私が日本代表に贈ったメッセージだった。それを私はユニフォームに記した。ひとつの団結したチームとして日本代表にプレーして欲しかったからだ。そして実際に日本は、ひとつにまとまって見事に勝利を収めた。
この勝利は日本に大きな自信を与えた。もちろんまだ何も得たわけではない。だがセネガル戦で勝ち点3をあげれば、当然だが大きく前進することになる。残り2試合を戦って勝ち点6に達したら(グループリーグ突破は)間違いない。今の日本は、切り札を手にしたということだ」