酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
イチローは盗塁記録もやっぱり別格。
伝説に残る強肩捕手との一騎打ち。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byAFLO
posted2018/06/16 11:30
'06年には39連続盗塁成功をマークしたイチロー。ヒットで出れば次の塁を狙う、理想的なリードオフマンだ。
イヴァン・ロドリゲスという最初の壁。
そんな中で、イヴァン・ロドリゲスは12回走って6回の成功にとどまっている。
イヴァン・ロドリゲスは'01年、華々しいデビューを飾ったイチローにとって、最初の壁となった選手だ。
4月17日のレンジャーズ戦。イチローはこの時点で打率.333、マリナーズのルー・ピネラ監督が「やつは毎日マルチ(安打)だぜ」と驚いて見せた活躍だった。
この日もイチローの打撃は絶好調。まず1回裏に先頭打者として中前打で出たが、レンジャーズの捕手イヴァン・ロドリゲスは二塁で刺した。イチローは続く2回も2死から左前打で出塁したがまた二塁でアウト。まるで「メジャーをなめるな!」というような、強烈な洗礼だった。この日のイチローはさらに2安打したが、以後は走らなかった。
イチローは試合後、このようにコメントしていた。
「(メジャーに入って)ロドリゲスから盗塁するのは大きな目標でした。でもこんなスローイングを見せられると、なかなか難しいですね、今日に関してはごめんなさいと言うしかない」
30歳を過ぎて頂点に達した盗塁技術。
それ以後、2人は互いを意識しあう好敵手になったと思われる。イチローとイヴァン・ロドリゲスの盗塁全対戦記録は以下の通りだ。
'01年4月17日/0盗2死
'01年7月 3日/1盗0死
'02年4月13日/1盗0死
'02年7月25日/1盗0死
'02年9月9日/0盗1死
'02年9月19日/1盗1死
('04年、ロドリゲスはタイガースに加入)
'04年8月21日/1盗0死
'08年5月20日/1盗1死
'08年7月6日/0盗1死
イチローの盗塁技術が頂点に達したのは30歳を過ぎてからだ。32歳の'06年には45盗塁2盗塁死、34歳の'08年には43盗塁4盗塁死。ともに成功率9割超という驚異的な成功率を誇っていた。