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大谷シフトに、1回限定の先発投手。
メジャーは野球の常識を常に疑う。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2018/06/02 11:00
メジャーでは守備シフトの常識に対する挑戦が常に進行している。野球という競技は進化しているのだ。
一度「検証済み」となれば広がるのははやい。
急進的な野球観=救援投手の先発起用の実用化の第一段階は、微妙な結果に終わった。しかし、どんなに素晴らしいアイディアを持っていても、どんなに詳細なデータを持っていても、それを有効活用できる人材と場所がなければ「宝の持ち腐れ」になるし、勇気ある人々が挑戦したお陰で成功例が増えて「検証済み」とならなければ、広く球界に広まることはない。
投手起用で優れた手腕を発揮し、2014年のワールドシリーズ第7戦では先発左腕のマディソン・バムガーナーを救援投入して優勝を掴み取ったジャイアンツのブルース・ボウチー監督が、シカゴ遠征の折にこう言っている。
「新しいアイディアは『自分のチームを助けるためだ』とオープンな気持ちで見ないといけない。投手を8番に打たせて、(1番と9番に)2人のリードオフマンを入れるようなものだよ」。
今から10年後には、救援投手は先発するのが恒常化されて「急進的な野球観」はまたひとつ、普通の出来事になっているかも知れない。