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大谷シフトに、1回限定の先発投手。
メジャーは野球の常識を常に疑う。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/06/02 11:00

大谷シフトに、1回限定の先発投手。メジャーは野球の常識を常に疑う。<Number Web> photograph by Getty Images

メジャーでは守備シフトの常識に対する挑戦が常に進行している。野球という競技は進化しているのだ。

1回を抑えるためだけに先発投手を選ぶ!?

 それが「救援投手の先発起用」だ。

 その日のレイズの先発は、メジャー11年目で35歳のベテラン救援投手ロモだった。ロモはこれまでポストシーズンを含む通算615試合がすべて救援登板という生粋のリリーバーである。

 試合ではエンゼルスの1番コザート、2番トラウト、3番アップトンといった右打者3人を得意のスライダーを駆使して三者三振に打ち取り、1回で降板した。

 出鼻を挫かれた形になったエンゼルスはその後もレイズが繰り出した4人の救援投手(1人は6回と3分の1投げた)を攻略し切れず、3-5で敗れた。

 レイズは翌20日もロモを先発させた。ロモは1番キンズラー(もちろん、右打ち)こそ歩かせたものの、2番トラウト、3番アップトンを連日の空振り三振に仕留めると、4番シモンズ(やはり、右打ち)を三ゴロに仕留めて「救援投手の先発1イニング登板」を成功させた(ただし、この日はエンゼルスが5-2で逆転勝ちしている)。

「そんなに急進的なことでもない」

 レイズのキャッシュ監督は試合後、地元メディアにこう語っている。

「いつかこれが普通になるとは思ってないが、そんなに急進的なことでもないと思う。我々はとてつもない量の情報を基にベストなシナリオを見つけようとしている組織なんだよ」

 救援投手の先発起用という奇策でエンゼルスとの4連戦で3勝1敗と勝ち越したレイズは、続くレッドソックスとの3連戦でエースのアーチャーと左腕スネル、3番手のファーリアという「生粋の先発投手」3人を先発させ、結果は1勝2敗。

 直後のオリオールズとの3連戦では再びロモを初戦と3戦目に先発させると、中日も救援のスタネックを先発させた。

 結果はレイズの2勝1敗だったが、ロモは初戦で1番から5番まで並んだ右打者に対して2安打1失点で1回持たずに降板。3戦目でも2安打1四球で満塁のピンチを招いたところで降板している。

【次ページ】 一度「検証済み」となれば広がるのははやい。

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