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大谷翔平を2奪三振で抑えた
田中将大のプライドと貫禄。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byAFLO
posted2018/05/30 18:00
打者・大谷は'13年に楽天時代の田中と対戦しており、11打数無安打、6三振2四死球に抑えられている。
田中はロマンや感傷は求めない。
敵地での対戦は、直前に大谷が左足首を捻挫したため、お預けとなったが、約1カ月後の今回、ニューヨークで実現した。
結果は、空振り三振、四球、空振り三振。2打数無安打1四球。
田中が完勝した。
試合後の田中は、いつも通り、淡々と投球を振り返った。
「もちろん、彼を抑えることは容易じゃないです。それだけ神経を使う部分でありましたけど、選球眼がいいので、なかなかくさいボールは振ってはこなかったので。今日は僕が抑えられましたけど、容易ではないですよね」
確かに、ファンが望むような速球主体の勝負ではなかったのかもしれない。カットボール、スライダー、スプリットをちりばめ、「技」を駆使した。ただ、力任せに速球を投げ続けても、打たれてしまえば、自らだけでなく、チームの負けをも意味する。
結果がすべてのこの世界。
田中は、ロマンや感傷を求めて、マウンドに立っているわけではない。
2014年。ヤンキースで一緒に戦った黒田博樹の口グセだった言葉を、田中はおそらく忘れていない。
「すごい投手が勝つのではなく、勝った投手がすごい」
田中が見せた貫禄は、今後、メジャーでもまれていく大谷に対するメッセージ、そして心からのエールだったに違いない。