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井上尚弥、バンタム級でも強すぎ説。
余裕の3階級制覇からWBSS参戦へ。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2018/05/28 11:40

井上尚弥、バンタム級でも強すぎ説。余裕の3階級制覇からWBSS参戦へ。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

テレビ中継の“尺”を大いに余らせてしまうほどの圧勝劇。バンタム級でも井上尚弥は圧倒的だ。

「何も分からないまま試合が終わった」

 試合前は、初めて他の選手や関係者に控え室から出て行ってもらった。これまでは気にならなかった他人のしゃべり声や動きにが気になったからである。試合直前にこれほどナーバスになることは今までになかった。

 それでもなお、井上はバンタム級世界チャンピオンの一角を軽く一蹴した。「(自分の力がバンタム級でどの程度なのか)何も分からないまま試合は終わってしまった」という本人の言葉がすべてだった。

 これにより井上は先述の「次」である今秋開幕予定のWBSSへの出場が決定的となった。WBSSは欧州で始まった新しい賞金トーナメントで、昨年スタートしたシーズン1はクルーザー級とスーパー・ミドル級で実施され、各階級に8人がエントリー。クルーザー級にはメジャー4団体のチャンピオンが出場し「真のチャンピオンを決める」という大会ポリシーを忠実に実現した。いわばボクシングのワールドカップと言える大会である。

あのネリが出場するという噂も。

 バンタム級にはWBAスーパー王者のライアン・バーネット(英)、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、WBO王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)の出場が決定済み。元WBC王者の山中慎介(帝拳)に2連勝しながら体重超過で日本から永久追放処分を受けたルイス・ネリ(メキシコ)が出場するとのうわさもある。

 いずれにしてもこれに井上がエントリーすれば、バンタム級最強を決める申し分のないトーナメントとなることは間違いない。スーパー・フライ級時代、他団体王者との統一戦を熱望しながら実現しなかった井上にしてみれば、またとないチャンスと言えるだろう。

「まずは(トーナメント)3試合しっかり勝ってバンタム級最強を証明したい」

 試合翌日、横浜市の大橋ジムで記者会見した新チャンピオンは傷ひとつない顔でそう語った。井上尚弥はいったいどこまで強いのだろう。本人さえも分からないその答えがWBSSで出るのだろうか。

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