フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
樋口新葉、北京五輪への新章始まる。
「トリプルアクセルは今季中に絶対」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/05/28 17:00
自らのジャンプを「感覚的」と語ってきた樋口新葉。より確実な滑りを意識することで北京五輪への切符も確実にするつもり。
「平昌オリンピックは見ていないんです」
「今になって思うと、世界選手権が終わった直後はやり切った気持ちが強くて、頑張って(気持ちを)切り替えたというようなことを言ったけれど、いまだに切り替えはできていないんです」
言葉を噛みしめるように、樋口はそう気持ちを説明する。
「オリンピックに出られなかったので世界選手権で頑張った、というのは確かにそうなのですが、オリンピックに出られなかったという気持ちは消えない。(これからまた)4年たって、どうなるかという気持ちは自分の中であります」
平昌オリンピックは、テレビで見たのかと聞くと、「見なかったです。誰一人見ていないです」と小さな声で告白した。「それほど悔しかったということですね」と聞くと、「はい」と頷いた。
今季はトリプルアクセルに意欲。
2022年の北京オリンピックに向けて、すでに着々と準備を整えている。
5月に1週間、トロントのクリケットクラブに来たのも、羽生結弦のジャンプ指導もしてきたジスラン・ブリアンコーチに3アクセルの指導を受けることが目的の1つだった。樋口は2017年国別対抗戦の公式練習で初めてこのジャンプを成功させ、ミラノ世界選手権の会見では将来的に試合で跳びたいと宣言していた。
「今シーズンから、絶対にプログラムに入れたいです」と意欲を見せる。
同世代の日本女子は、才能のある若手が激しく競い合っているだけに、こうした大技を自分のものにすれば、大きなメリットになる。
現在の自分の長所はどんなところだと思うかと尋ねると、こう答えた。
「あきらめないこと。ジャンプが1個だめでも、次で跳ぼうと思う。技術的なことでは、前よりもスケートが滑るようになったと思います」