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正式メンバーとしての米ツアー初戦。
小平智と、彼を支える4人の仲間。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2018/05/16 08:00

正式メンバーとしての米ツアー初戦。小平智と、彼を支える4人の仲間。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

浮島の名物ホールへ向かって歩く小平智とベテランキャディの大溝雅教。米ツアーの雰囲気を満喫していることだろう。

準備期間なしで大海原へ漕ぎ出した5人チーム。

 日本人選手が米ツアーに本格参戦を開始した過去の例を振り返れば、Qスクール(予選会)を突破して翌年のツアー出場権を手に入れたり、あるいはスポット参戦を続けた末にテンポラリーメンバーから正式メンバーへと進んでいった先人たちには、正式メンバーとして参戦を開始するまでに、それなりの準備期間があった。

 だが、スポット参戦でいきなり初優勝した小平の場合は、準備期間のない状態で本格参戦を開始することになり、体制を整える余裕がないまま、手持ちの船で大海原に繰り出している。

 小平と常に行動を共にしているのは4人。ロープ内で小平を支えるのは、ベテランキャディの大溝雅教。

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 そして、マネージャーの三上諒は小平の日大ゴルフ部時代の1年先輩に当たり、かつては用具メーカーに勤めていたが、数年前から世界を目指す後輩・小平のマネージャーを務めている。

 三上はつい最近婚約したばかりだそうだが、その矢先に小平の初優勝、米ツアー参戦となり、「いやあ、これからどうなるんだか」と苦笑して見せたが、彼の目には希望の色が溢れている。

仕事ではないのに手伝ってくれる人たち。

 小平の契約先である株式会社ヤマニの社員、桐生賢太郎はウエア担当だが、マネージャー的な業務も三上とともにこなしている。

 ヤマニはウエアやバッグ、練習器具などを扱う会社で、世界各国、全米各地に拠点を持つ総合商社の豊田通商とつながりがある。桐生は商社のネットワークと連携して「試合のエントリー手続きや通訳をお願いしたり、現地のホテルやレストラン情報を提供してもらっています」という。

 商社マンにしてみれば、そうやって小平の試合会場に出向き、アシストすることは本来の業務ではなく、ゴルフをまったくやらない人ももちろんいるそうだが、「みな笑顔で小平に手を差し伸べてくれるんですよ」。桐生はうれしそうに、そう言っていた。

【次ページ】 「僕らは誰も英語が話せない」

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