ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
鈴木みのるが30周年記念の相手に
オカダ・カズチカを指名した理由。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byEssei Hara
posted2018/05/08 17:00
昨年2月には札幌で激突した鈴木みのるとオカダ・カズチカ。この一戦が無料で見られるのは幸福すぎる!
猪木、馬場の記念試合も豪華だった。
こういった記念試合は、自身の歴史を振り返るようなカードで、ファンの思い出に訴えるようなものになるのが普通だ。
'90年に行われた、アントニオ猪木の30周年記念試合は、かつての宿敵であるタイガー・ジェット・シンと初タッグを結成し、ベイダー&アニマル浜口と対戦。ジャイアント馬場も30周年記念試合では、アブドーラ・ザ・ブッチャーと初タッグを組み、アンドレ・ザ・ジャイアント&スタン・ハンセンと対戦している。
鈴木自身、'08年6月17日に後楽園ホールで行った20周年記念大会では、かつて3度にわたり対戦した宿敵である、元キックボクシング世界王者モーリス・スミスとエキシビションマッチを行い、さらにメインでは盟友・高山善廣と一騎打ち。自分のレスラー人生に、大きな影響を与えたふたりと対戦している。
俺が入門した年に生まれたのがオカダだ。
しかし今回のオカダ・カズチカは、“鈴木みのる史”を振り返るために必要不可欠な存在というわけではない。それでもあえて、オカダを指名した背景には、鈴木の大きなこだわりがあった。
「俺が'87年に新日本プロレスに入門したその年に生まれたトップレスラー、それがオカダなんだよ」
オカダ・カズチカは1987年11月8日生まれの30歳。
鈴木は、自分がプロレスラーという人生を歩み始めたときにこの世に生を受けた、現在のプロレス界の最高峰と闘う。これこそが、50歳にして第一線で闘い続ける鈴木みのるにふさわしい30周年記念試合だという思いから、オカダ・カズチカ戦を決めたのだ。
俺の30年を、あいつの30年にぶつけて勝負してやる。
過去を振り返るのではない、現在進行形の30周年記念“頂上対決”。
今年50歳となる“トップレスラー”鈴木みのるに、これほどふさわしい試合もないだろう。