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「インドアもビーチも同じバレー」
元全日本エース越川優を変えた言葉。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byMakoto Baba
posted2018/05/08 11:00
インドアからビーチへと転向した2人。越川(左)にとって大先輩・西村の存在は大きい。
西村も転向組なのが心強い。
西村とペアを組んだ経緯について越川は言う。
「ビーチの技術はもちろん戦術的な力もある。いちばん大きかったのは、西村さんも、もちろん2020年の東京五輪を目指していることです。東京オリンピックについては“これが最後のチャレンジだ”と言っていますから」
それとともに越川同様、インドアから転向した選手であることも大きいという。
「自分にはまだビーチで戦う技術はありません。でも、僕の能力を買ってくれている。そして、僕に足りない部分も理解していて、西村さんはそこを伸ばそうとアドバイスをしてくれます」
「ビーチバレーも同じバレーだから」
インドアからの転向で苦労した経験がある分、西村には越川の心理もよくわかる。
「西村さんによく言われるのは『ビーチバレーも同じバレーボールだから』という言葉。僕はまだ別のものだと思ってるんですよね。あまりにも違うので……。でも、だから経験者である西村さんが言う“同じ”だという部分を、ビーチ特有の風の中や砂の上でできればいいんだなって思えるようになりました。『慣れれば、今までインドアでやってきたことが砂の上でもできるでしょ?』と、西村さんには言われます」
大先輩のアドバイスは越川にとって心強い。
「去年、1シーズン、ビーチでプレーしてみて、通用したと思える部分は正直、ないんですよ。自分の中で『こういうプレーができるようになった』とか『こうすればいいんだな』という感覚は生まれましたけど……。ビーチバレーでよく言われる“ゲームを作る”という感覚も、完全に理解できていないし、環境の変化にも対応しきれているかというとまだまだです」
インドアでの最後の試合となった黒鷲旗が開催されたのが、ちょうど1年前のゴールデンウィークである。たった1年で大きな成果を望めるほど、ビーチバレーの世界は甘くなかった。