プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
“棚橋弘至時代”は本当に終わった?
オカダに敗れ涙し、それでもまだ……。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/05/07 17:00
ボロボロになって燃え尽きた……かのように見えた棚橋弘至。しかし、その灰の中にまだ埋み火を残していた!
「ボロボロの人間でも、ここまでやれるんだ」
「棚橋弘至、なめていましたけれど、強かった。あの棚橋弘至に勝ててよかったと思います。最後の方になってからは、もうIWGPのベルトへの想いだったんじゃないかなと思います。あんなにしぶといとは思っていなかった。キツかった。本当にキツかった」
オカダはいつになく疲労の表情を浮かべた。
「強かった。強かったし、あそこまでボロボロの人間でも、ここまでやれるんだ。それは、レスラーのボクとしてもすごいと思うし、お客さんの中でもパワーをもらえた人はいたと思う。本当に勉強になりました」
棚橋はIWGPから離れていた時間のすべてをぶつけるようにオカダに挑んでいった。その姿には、すべてをひっくり返す決意が溢れていたと思う。
多くの人が「棚橋時代の終焉」を感じただろう。
「レインメーカーだけは食らわない」という姿勢で棚橋はオカダと対峙した。何度もレインメーカーを回避して、逆にラリアットをオカダにぶち込んでみせた。
だが、最後はオカダに引き戻されてレインメーカーを浴び、3カウントを聞くことになった。
34分36秒。
棚橋のIWGP戴冠の夢はむなしく散った。
「オカダを泣かしてやる」と前日に言っていた棚橋。しかし、試合が終わってから涙したのは結局棚橋の方だった。
多くの人が「棚橋時代の終焉」を感じただろう。
敗れた棚橋は、自力で控室に戻ることさえできなかったのだ。オカダは「お疲れさまでした」という言葉を最後にその敗者の背中に残した。