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高橋由伸監督と巨人は勝利に飢える。
「奮輝」に込めた3年目のリベンジ。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2018/05/06 08:00
過去2年よりも表情を見せることが増えた高橋由伸監督。それはチームへの手応えがリンクしているのかもしれない。
伝統、プライドを背負う18代目監督。
奮い立ち、輝きを取り戻す――。
36度のリーグ優勝を遂げている常勝軍団。巨人軍第18代目の監督となって3年目を迎えた今年、高橋監督はチームの伝統、プライドを背負い、指揮を執る。
勝負にきれいごとはない。監督に就任して2年間、それを身に染みて痛感しているからこそ、高橋監督は決して下を向かず、泥臭くも勝利にしがみつく。
負けることなど望んではいない。だが、それを覚悟もしていた。
「知らなくてよかったこともありますし、知らないと分からないこともありますしね。1年目から勝利という目指すべきところは変わりませんけど、監督という立場になってから考えさせられることは増えましたね」
そう言って高橋監督は、笑みを浮かべながらも、少し渋い表情を覗かせる。
現役だった2015年のシーズン終了後、球団から監督のオファーをもらった際、「球団にも相当な覚悟があって、自分に話をしてくださったんだ。それに応えるのもプロだ」と理解を示し、自らの引き際を決断した。
選手なら結果で切り替えられたが。
勝利を宿命づけられたチーム。これまで、常勝軍団の指揮を執り、理想と現実とのはざまで翻弄され続けた監督は数多くいる。高橋監督もそのひとりである。
選手時代は、試合に負けてもプレーヤーとして結果を残すことができれば、前向きに気持ちを切り替えることができた。しかし、監督となってからは勝敗がすべて。勝てば気持ちは昂るが、負ければ悶々とした感情を吐き出すすべが見つからず、悩むこともあった。
球団ワーストとなる13連敗と、苦汁を嘗めた昨年がそうだった。
高橋監督は、当時の状況をこのように漏らしていたことがあった。
「連敗していたとしても、次の試合は待ってはくれませんから。相手がいることなので、こちらの思うようにいかないこともたくさんありますし。なんとか気持ちを切り替えて、その日の勝利のために最善を尽くすだけだと思いながら戦うしかなかったですね」