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SONYを辞めて最強オランダで勝負。
ホッケー及川栞、プロ転向の野心。
text by
中田徹Toru Nakata
photograph byGetty Images
posted2018/05/06 07:00
大企業を辞してでも競技に打ち込みたい。及川栞の強い想いは、女子ホッケー界を引っ張る原動力となるか。
東京五輪へ、ベストの選択肢はオランダ。
2017-18シーズン後の2年間はソニーに戻って東京オリンピックに臨むはずだった。しかし、オランイェ・ロートから「3シーズン目もクラブに残って欲しい」と慰留を受けた及川は「決断するときだな。今、オランダリーグでプレーするという環境を捨てるのはもったいない」と判断し、昨年12月、ソニーの全日本女子ホッケー選手権5連覇に貢献した後、退社を決心した。
「これまでは会社の理解があったので、1年1年、オランダでプレーすることが出来ました。しかし、ソニーに勤めている限り、来シーズンのことは私1人の判断で決めることは出来ない。本当に職場の方たちの応援は励みになったので、7年間勤めたソニーを辞めるのは寂しかったです。
それでも、東京オリンピックに向けてベストのコンディションに持っていき、高い競技レベルでプレーし続けるには、やっぱりオランダだろうと。だから、オランイェ・ロートからの(契約延長)オファーを断るという選択肢は私の中にはなかった」
世界一のDFになるため、攻撃的に。
プロ宣言したこの2カ月で、右肩上がりでレベルアップしていることを、及川は実感しているという。
「自分のプレーにチャレンジすることが出来てます。目標とする世界一のDFになるために自分は攻撃を伸ばしたかった。今は攻撃的なパスにどんどんトライ出来てます。指示も出来るようになって、味方から『ナイス・コーリング!』って言われていることも、チームにとってプラスになっている」
及川の東京オリンピックへの思いは、どこまでも膨れ上がっている。平昌冬季オリンピックの女子パシュートの日本対オランダの決戦や、オランダでも人気のある小平奈緒の活躍――。及川はチームメートたちと「日本、やったあ!」「畜生、負けたあ!」などと、前の日の競技の話題で盛り上がったという。
そして及川は「東京オリンピックまであと2年かあ。夏季オリンピックは競技が多いから、もっと盛り上がるんだろうな」と決意を新たにしていた。