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イチローより年下の監督が次々登場。
MLBで強権型指導者はもう流行らない。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/04/28 09:00
42歳のアレックス・コーラは、いまにもグラウンドへ飛び出していきそうな雰囲気で試合を見つめている。
もはや、強権発動の監督は流行らない。
イチローより若い現役のメジャーリーグ監督は他にも何人かいる。
コーラが「コーチ修行」を積んだアストロズの昨季のワールドシリーズ優勝監督、A.J.ヒンチは43歳、巨人にいたこともあるフィリーズのゲーブ・キャプラー新監督は、コーラやキャラウェイと同じ42歳だ。
日本が生んだ「サブマリン」牧田和久を迎え入れたパドレスのアンディ・グリーン監督と、レイズのケビン・キャッシュ監督はともに40歳とさらに若く、選手同様、急激に進むメジャーリーグの世代交代を感じさせる。
そう言えば去年、青木が地元ヒューストンで日米通算2000安打を達成した時、ヒンチ監督がこう言っていたのを思い出す。
「日本での安打数を入れることがどうとかこうとかいうのは、どうでもいいことなんだ。イチローがすでにプロ野球で4000安打以上打ってることと同様、僕にとってはノリ(青木)が長い現役生活の中で積み上げてきた2000安打という数字が特別なんだから」
何年も前から言われていることだが、メジャーリーグではもはや、強権発動の監督は必要とされていない。選手と対話すること。その対話の能力が優れている監督こそが求められる時代である。
控え選手の時代が長かったコーラや、マイナー暮らしが長かったキャラウェイやヒンチ、あるいは米国から日本に流れていったカプラーやグリーンなど、現役時代はあまり目立たなかった元選手たちがその役割を担っているのは偶然ではないだろう。
イチローより若い40代前半の監督たちが、その傾向をさらに加速させているのかも知れない。