酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
衣笠祥雄&山本浩二はONにも匹敵。
18年で4657安打のスーパーコンビ。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/04/26 11:30
2131試合連続出場を果たした衣笠祥雄さん。花束を渡したのは阿南準郎監督と、若かりし日の落合博満さんだった。
長嶋・王と並んでNPB史上最高のコンビだった。
そんな中で衣笠祥雄、山本浩二は、18年もコンビを組んだ。長さではヤクルトの若松勉、杉浦亨と並ぶが、成績は上だ。
2人合わせて4657安打は1位、999本塁打、2808打点はONの1049本塁打、2974打点に次いで2位だ。アベックホームランは長嶋、王の106回に次ぐ86回。
2人そろって2000安打400本塁打1000打点をクリアしたコンビは長嶋茂雄、王貞治と、衣笠祥雄、山本浩二の2つしかない。また2人がともにMVPを受賞したのもこの2つのコンビだけだ。衣笠、山本はともに200盗塁もクリアしている。これはこのコンビだけ。
衣笠祥雄、山本浩二のコンビに「ON砲」のような愛称がつかなかったのが、なぜかはよくわからない。最初はそれほど目立つ2人ではなかったことが大きいかもしれない。
しかしこのコンビができて7シーズン目の1975年、広島は1950年の創設以来初のリーグ優勝、以後、このコンビが現役中に広島は5回のリーグ優勝を飾るのだ。
衣笠祥雄氏の訃報に接して、山本浩二氏は「それまではあまり話をしなかったが、初優勝してから、キヌ(衣笠氏)とチームをどうしていこうか、と話し合うようになった」と語っている。小さな会社を2人して大企業へと育て上げた経営者コンビのような心境だっただろうか。
衣笠祥雄・山本浩二は、長嶋茂雄・王貞治とともに、NPB史上最高の名コンビだったと言えよう。
ルースとゲーリッグにも比肩する。
MLBでこの2つのコンビに匹敵するのは、このコンビしかない。
<ヤンキース ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ 12年(1923-34年)>
ベーブ・ルース 1680試合 5813打数 2014安打 511本 1579点 打率.346
ルー・ゲーリッグ 1538試合 5714打数 1966安打 348本 1450点 打率.344
2人は1920~30年代のヤンキースのマーダラーズロー(殺人打線)の中核として、「ワンツーパンチ」と呼ばれた。その破壊力はすさまじい。移籍が多いMLBで10年以上もコンビを組んだのは、90年以上前だとしても珍しい。