「1年間、頑張る」から1試合1試合に。

　本来の自分の居場所であるサードは主砲のゼラス・ウィーラーがおり、昨年から銀次がセカンドでスタメン出場した試合でファーストに就くことが増えた。

　今江には実績がある。しかし、現状は出場機会が限られている。厳しい立場を胸に刻んでいるからこそ、今江は「一喜一憂しない」と強調するのだ。

「これまでは『1年間、頑張る』とか言ってきましたけど、それで結果を出せていない自分がいるんで。だから、1試合1試合チャンスをものにして、結果を積み重ねていかないとダメだと思っています」

　今年35歳。楽天との3年契約の3年目を迎える年だけに、是が非でも結果を残すと、それこそ悲壮感を漂わせながらまい進する。

　その背中をきっとチームは見ている。ベテランが試合で存在感を示す。「やっぱり、今江さんはさすがだな」と、後輩たちが続けとばかりに躍動する。その好循環を生み出せるだけのものが、今江にはあるはずなのだ。

松井稼頭央は、今江について……。

　PL学園の大先輩で、昨年まで楽天でチームメートだった松井稼頭央は、今江のチームでの振る舞いをこのように評していた。

「ゴリ（今江の愛称）は、年上からも年下からも愛される選手ですから。練習から妥協しませんしね。こっちが『そろそろ止めておいたほうがいいんじゃない？』と思っても、ずっとバットを振っていたりね。『少しでもうまくなりたい』って気持ちが十分に伝わってくる選手なんですよ。

　ゴリが楽天に来てくれたことで、若い選手たちにとっていい見本になっているし、刺激にもなっていますから。これからも、チームを引っ張っていく存在になっていってくれるでしょうね」

　今江に求められるのはまさにそこだ。西武に移籍した松井が昨年まで果たしていたように、精神的支柱としてチームを支えなければならない。

【次ページ】　「稼頭央さんは本当レジェンドなんで」