サッカー日本代表 激闘日誌BACK NUMBER
<放送席から見た日本代表の激闘>
山本浩「初出場のフランスW杯前に体験した一体感」
posted2018/04/27 10:00
text by
山本浩Hiroshi Yamamoto
photograph by
JMPA
山本浩(元NHKアナウンサー)
1953年4月、島根県生まれ。東京外国語大ドイツ語学科卒。1976年、NHKに入局。2009年3月に退職するまでの20年以上、サッカーなどスポーツ中継にかかわった。サッカー日本代表が初めて出場した1998年フランスW杯の初戦vs.アルゼンチンの実況も担当した。現在、法大スポーツ健康学部教授。
日本代表との初めての接触は'83年1月27日。NHK松山局に勤務していた時で、翌年のロサンゼルス・オリンピックを目指していた代表の松山での道後合宿でした。その時にドイツ人のベルティ・フォクツが臨時コーチとして招かれていて、大学時代の専門がドイツ語でしたので、彼とドイツ語で話しました。
それが当時の監督だった森孝慈さんの目に止まって代表との近い関係が始まり、当時、NHKにはサッカー専門アナウンサーはいませんでしたから、「サッカーなら山本でも使ってみるか」ということになったようです。
日本代表の試合の初めての実況は、この年の9月4日、午後2時から4時までのラジオ第1放送でした。ロサンゼルス・オリンピックのアジア/オセアニア地区予選、日本ホームでの対フィリピン戦で、試合は日本が7-0と一方的に下しました。
初のテレビの実況放送はワールドカップメキシコ大会のアジア地区一次予選で、'85年2月23日の対シンガポール戦です。アウェーで行われ、日本が3-1で勝ちました。テレビ放送では、ラジオに比べると試合状況が視聴者にもよく見えているわけですから、どこで何を言っていいのか言葉が見つからず、苦労したのを覚えています。
初放送から日韓W杯決勝まで約350試合を実況。
初放送から2002年の最後の実況となったワールドカップ日韓大会決勝のブラジル対ドイツ戦まで、サッカー全体で約350試合、日本代表の試合に限ればグループリーグ初戦の対ベルギー戦まで、50試合くらい実況しました。'93年からJリーグが始まり、担当がサッカー専門となったこともあり、他の種目のスポーツ実況は極端に減りました(笑)。
私だけでなく、他の同僚の話を聞いても、自身が実況した試合のことはあんがい覚えていないものです。それでも印象に残っている試合と言えば、やはり'93年10月28日のワールドカップアメリカ大会アジア最終予選の対イラク戦、いわゆる『ドーハの悲劇』でしょう。