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石川遼はパーティー後に練習場へ。
多忙な会長生活と選手の両立法。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2018/04/19 07:00

石川遼はパーティー後に練習場へ。多忙な会長生活と選手の両立法。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

多忙な日々を送る石川遼だが、東建ホームメイトカップでは2位に入った。

球数が増えても「……終わんねぇ」。

 石川は平然と素振りを繰り返し、次のボールに手を伸ばす。腰を折って、カゴから1球ずつ。脳内と体の動きがマッチしたスイングができれば、練習を切り上げるつもりなのだろう。

 だが、球数は5球、10球、20球……と増えていく。

「……終わんねぇ」

 嘆いて、嘆いて、また打つ。素振りの合間に、たまにあくびをしている。プロアマパーティでは絶対に見せなかったであろう顔だった。

 この居残り時間の最中、実はもうひとりのプロが遅れてこの練習場に姿を見せた。昨年ツアー初勝利を飾り、賞金ランキングを6位で終えた25歳の今平周吾。数本のクラブを手に場内に入ると、石川を見るや「こんばんは」とあいさつして、自分の打席に向かって言った。

 石川は1つ年下の選手の背中を見て「ゴルフ、好きなんだなあ……。納得できないと眠れなくなる、みたいな」とつぶやいた。まるで自分のことを含まないような口ぶりで。

削られるのは、練習時間。

 最後のドライバーショット。例によって豪快な弾道がネットの天井に突き刺さって、闇夜に消えていく。ただ、表情は決してよくない。

「もう、帰ろう……」

 白いグローブを外し、打席を後にする。午後8時40分。翌日のスタートのおよそ12時間前だった。

 選手会長は忙しい。それは歴代の池田勇太や宮里優作に在任中のスケジュールを聞けばすぐに分かる。

 ツアーやスポンサーとの会議に出席し、連日のイベントや取材対応に追われ、削られるのは練習時間に他ならない。特に日本では諸外国のツアーに比べ、プレーヤーにかかる“コース外の仕事”の負担が大きいように見える。

 石川は今季ツアーの国内初戦を終え、自身の生活について「試合が始まってからは集中できる環境はあります。特に変わりはないですかね」と話した。

 ただ一方で、プロアマパーティを終えた後には「練習をしたくならざるを得ない環境だよね、これは」と言った。これから、さらに多忙になるスケジュールを覚悟して。

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