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小平智とスピースが辿る同じ道。
スポット参戦での優勝は事件なのだ。
posted2018/04/25 10:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
「こんなに早く優勝できると思っていなかったので、すごくうれしい」
米ツアーのRBCヘリテージ最終日を首位から6打差の12位でスタートし、キム・シウとのサドンデス・プレーオフに持ち込んで勝利した小平智は、優勝会見で噛み締めるように、そう言った。
日本人では史上5人目の米ツアー・チャンピオン。通算15試合目での初優勝はその中でも最速だ。その意味では、確かに「早く優勝できた」ということになるが、早いと言っても、そこに至るまでには当然ながら「それなりの」時間と努力があった。
米ツアーのQスクール(予選会)にひっそり挑戦したのは、4年前だった。結果は不合格で、メンバーになれず跳ね返された小平は以後、地道な歩みを続けてきた。
一昨年ごろから自力で世界の舞台に立ち始め、昨年は全米オープン、世界選手権シリーズのブリヂストン招待、全米プロにも出場。「自信になった。もっと(成績が)出せるとも感じた」と徐々に手ごたえを得始めた。
名付けて「小平の道」。
今年は世界ランキング上位50位入りしてマスターズ出場権を得ることを目指し、年明けからアジア、メキシコ、アメリカを転戦。世界46位でオーガスタへの切符を手に入れ、憧れのマスターズでは初出場にして大善戦し、28位で4日間を終えた。
そして今後は得られるチャンスを最大限に活用して米ツアーの試合にスポット参戦で挑み、スペシャル・テンポラリー・メンバーへ、正式メンバーへという順路を目指そうと翌週のRBCヘリテージへ赴き、そこで米ツアー初優勝を遂げた。
日本人としては史上5人目のチャンピオン。だが、勝利に至るまで、米ツアーメンバーになるまでの小平の歩み方は、実を言えば、日本人としては初めての道である。
これぞ、名付けて「小平の道」。彼は、これから米ツアーを目指す日本の若きゴルファーたちの範となるパイオニアになったと言っても過言ではない。