ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
石川遼はパーティー後に練習場へ。
多忙な会長生活と選手の両立法。
posted2018/04/19 07:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
「アイツ、顔が筋肉痛になっちゃうよ」
場内から先に出てきた、ある先輩プロがイタズラっぽく笑っていた。
各ゴルフトーナメントの開幕前日に行われるプロアマ戦は、プロゴルファーにとって大会スポンサーをもてなす大切な時間だ。日中は一緒にゴルフを楽しみ、日本ではそれに続いてクラブハウスでパーティが行われるのが一般的。ジャケット姿になった選手たちは、参加者の要望に応えて握手をしたり、サインをしたりと忙しい。
2018年の日本ツアーは1月のアジアシリーズでスタートし、4月の東建ホームメイトカップで国内開催の初戦を迎えた。この試合も水曜日はお決まりのプロアマデーとなった。
今季新たに選手会長に就任した石川遼の周りには1日を通じて人だかりができた。朝から1日で何度、目の前でカメラのシャッターを切られたことだろうか。夕方に始まったパーティでも何度も記念写真をせがまれ、そのたびに口角を上げて笑顔を作る。
プロデビューしたちょうど10年前から何度も経験してきたはずだから、ホントに顔が筋肉痛になったりはしないだろうが、今はまた立場が違う。ツアーを引っ張るのはコースの中だけではいられない。“外交”の仕事も今後は強く求められる。
パーティ後、町場のゴルフ練習場へ。
パーティが終わり、先輩プロがコースを後にしてからおよそ30分後。石川はようやくひと息つくと、場内に残っていた料理を口に運んだ。時計の針は午後7時半に近づき、ようやくクラブハウスを出て、自家用車に乗り込む。
だが、石川の1日はこれで終わらなかった。
コースを離れ、向かった先は近所にあった町場の練習場だった。
日中の懇親プレーを終え、パーティを終えるまでにショットの練習ができなかった。ゴルフ場のドライビングレンジには照明設備がない。それゆえ、深夜までオープンしている施設で石川は再び打ち込むことを決めていたのだった。