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OBが「#リベンジ」とツイート応援。
桐蔭学園が選抜ラグビーで劇的優勝。
posted2018/04/13 07:30
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Masataka Tara
あるツイートが高校ラグビーファンの注目を集めていた。
桐蔭学園(神奈川)と大阪桐蔭(大阪)の“桐蔭対決”となった春の高校日本一決定戦、第19回全国高校選抜ラグビー大会。
その決勝戦を翌日に控えた4月7日、桐蔭学園OBの中村大地がつぶやいた。
「決勝戦。桐蔭の最初の1フェーズ目を65フェーズ目だと思って応援します。絶対に勝って欲しい。後輩達、頑張れ。#リベンジ」
ハッシュタグの「#リベンジ」が生まれた場所は、昨年度の花園準決勝だ。
中村は今年1月5日、東大阪市花園ラグビー場で行われた花園(全国高校ラグビー大会)の舞台に立ち、悲願の単独優勝を目指していた。
2017年度の桐蔭学園は、「チーム史上最強」の声もあったフォワード第1列を擁し、東福岡(福岡)との両校優勝だった2010年度以来の載冠を目指したが、準決勝で大阪桐蔭に7-12で敗れた。
試合の最終盤、1トライ1ゴールで逆転可能な5点を追いかける桐蔭学園は雨の影響もあり、リスクの少ないフォワード勝負に出る。
じりじりと前進し、約8分間で重ねたフェーズ(攻撃回数)は驚異の「64」。しかし相手ゴール目前でボールを失い、天を仰いだ。優勝候補だった桐蔭学園の挑戦は、大阪桐蔭戦の64フェーズ目で途絶えたのだった。
去年のスローガンは「礎」、今年は「磨」。
それから4カ月。新チームとなった桐蔭学園は、選抜決勝の舞台で再び大阪桐蔭と相対した。この春、慶大ラグビー部の一員となった中村は、ツイートを通じ、後輩たちへ思いを託したのであった。
ただ、俊足スクラムハーフの小西泰聖を主将に据えた新チームは、以前から先輩の意志を継ぐと決めていた。自身もあの日の敗戦を味わっている小西主将は言う。
「去年のスローガンは『礎(いしずえ)』だったのですが、今年はその礎を磨くという意味で、『磨(みがく)』にしました。それは新チーム全員で決めました」
先輩が築いた礎を磨く。小西主将らは自らの意志によって遺産を継承していた。そんな新チームにとって、大阪桐蔭との再戦がリベンジの意味を帯びるのは必然だった。