野ボール横丁BACK NUMBER
センバツ20本塁打の全バットリスト。
根尾昂はバットもグラブも特注品!?
posted2018/04/10 11:30
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kyodo News
昨夏は、大会本塁打数新記録となる68本もの本塁打が乱れ飛び、この春も大会本塁打記録が更新されるかと関心を集めたが、結果は20本止まり。例年並みに収まった。
そのあたりの理由も含め、この春も野球専門店「ベースマン立川店」の「テッちゃん」こと星徹弥さんに「高校生のベースボールギア最前線」を語ってもらった。星さんは、金属バットの音を聞いただけでメーカーと型番を言い当ててしまうほどのカリスマ店員である。
「今大会でいちばん驚いたのは大阪桐蔭の根尾(昂)選手のバットとグラブが別注だったということですね。プロ野球選手並です。高校生にそこまでやるかと(笑)」
業界でいう「別注」とは、カタログに掲載されていない商品のことを指す。
「根尾選手は黒いバットを使っていたのですが、そこにプリントされたメーカー名の文字がオレンジっぽい赤だったんです。そんな色の組み合わせは見たことがなかったので、すぐに気が付きました。
根尾選手は去年から別注バットを使っていましたが、この春、替えたのはヘッドキャップです。HCキャップという凹型のものにしていました。2、3ミリレベルですけど、重心が手元にくる。操作性を重視したんでしょうね」
メーカーでは根尾が使用している型のバットを100本から200本生産し、この春から販売する予定だ。表向きはもちろん通常の市販モデルとして売られるが、業界関係者はこのバットをすでに「根尾モデル」と呼んでいる。
ほとんど例がないフルオーダーグラブ。
ただ、星さんがバット以上に驚いたのは根尾の投手用グラブだという。
「あんなウェブ(網の部分)、カタログでは見たことがない。あのオーダーの仕方は完全にプロ野球選手レベルです。高校生が別注バットを使っている例はこれまでも聞いたことありますが、別注グラブは聞いたことないですね」
高校生でもオーダーグラブを使用している選手は多いが、それは限られた色やデザインから選ばなければならず、いわば「イージーオーダー」。根尾が使用しているグラブは、正真正銘のフルオーダーである。
「今後、お客様から『あのウェブにしたいです』という問い合わせが間違いなく増えると思います。来年あたり、バット同様、商品化されるかもしれませんね」