プロ野球亭日乗BACK NUMBER
6回3安打3失点。大谷翔平が
初被弾後に見せた「クオリティ」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/04/02 12:05
メジャー初登板の大谷翔平。160キロのフォーシーム、142キロのスプリットなど、メジャーファンに対して上々のデビューとなった。
160キロのフォーシーム、スプリットで三振も!
続く2番のローリーには158キロの速球を2球投げ込んで、最後は157キロの真っ直ぐで捕邪飛に打ち取った。
そして3番のオルソンの初球には、この日最速の160キロのフォーシームが女房役のマルドナード捕手のミットを叩いた。そこから134キロのスライダーで追い込むと、最後は142キロのスプリットで空振り三振で三者凡退だ。
文句のつけようのない立ち上がり。敵地だったが、球場はなんとも言えないため息と歓声に包まれた。
日本なら打者を押し切れた球が、外野まで飛ぶ。
2回には味方打線が2点を先制し、大谷に勢いがついたかと思ったが、その裏に“洗礼”は待っていた。
「ひとことで言うとやっぱりもったいないなということですね。あれで負けていたら悔いが残るんじゃないかなと」
本人がこう振り返った2回のマウンド。1死から5番のジョイスに157キロのストレートを左前に叩かれ、続くピスコッティーにはカウント1ボール2ストライクから160キロの速球を右前にはじき返された。
ジョイスのボールは真ん中高めに甘く入ったボールだったが、ビスコッティへの1球はインコース低めの厳しいコースを突けていた。日本なら完全に力で押し切っていたボールだったが、それを難なくライト前にライナーで運ばれてしまった。
そのショックを引きずったのかもしれない。
7番のチャップマンには2球続けてスライダーを選択したが、その2球目が外角寄りの甘めに入ると、これを左中間スタンドまで運ばれた。