プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平の体が反応したMLB1球目。
初安打と4つの凡退に、明るい表情。
posted2018/03/30 12:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
AP/AFLO
二刀流でメジャーに挑戦しているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が現地時間3月29日(日本時間同30日)のオークランド・アスレチックス戦に「8番・指名打者」で先発デビュー。2回の第1打席でいきなり右前安打を放って、初打席を初安打で飾った。
メモリアルの打席は一瞬だった。
2回に1点を先制した2死一塁。大谷の名前がコールされると、オークランド・コロシアムにブーイングが巻き起こる。そんな中、3回素振りをしてから、背番号17がゆっくりと打席に入っていった。
「初打席に向かうときには、おそらくこの先忘れられない打席になるのかなと思ったので、特別な感じはありました」
だが、そんな感慨に浸る時間もない。
アスレチックス先発の右腕・グレーブマンの初球だった。
148キロの内角に切れ込むカットボールに自然に体が反応した。ためらいなくバットを振り抜く。打球は一塁走者のシモンズとオークランドの一塁手・オルソンが一瞬、交錯した横をゴロで破ってライト前へと弾んでいった。
メジャー初打席の初球で生まれた初安打だった。
大谷の顔に、安堵の表情も……。
「インコースのカットボール」
大谷が振り返る。
「初球からしっかりいこうかなと思っていました。シモンズ選手が一塁にいたのでああいう形で抜けてくれたのかなという感じでしたね」
この安打でつないで直後には9番・マルドナードの二塁打で追加点も奪った。
「みんなで繋いで前半はいい感じの流れを作れたので、あの打席は良かったかなと思います」
一塁に立った大谷は一塁コーチャーと笑顔でグータッチ。いきなり結果を残せたことで、それは安堵の表情にも見えた。