野球のぼせもんBACK NUMBER
イチローマニアを生粋の2番打者に!
上林誠知に工藤監督、王会長が期待。
posted2018/03/28 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
今宮健太は1番打者。
それが今季のホークスの方針のようだ。
オープン戦の出場全10試合において「1番遊撃」で先発した。3月14日のジャイアンツ戦(ヤフオクドーム)ではライトへ流し打って先頭打者本塁打も放つなど、6試合出場の時点では打率.333の好成績を残していた。
しかし、最終的には2割ジャストまで落ち込んでしまったうえに、最後のカープとの3連戦をウイルス性胃腸炎で欠場してしまい尻すぼみのままシーズン開幕を迎えることになる印象はぬぐえない。
それでも工藤公康監督は今宮の打撃センスを以前から高く評価している。思い起こせば、昨シーズンも開幕から12試合目までは「1番今宮」で戦った。それ以前にもリードオフマンとして幾度となく起用したことがあり、それを理想形としているようだ。
今宮自身も1月の自主トレから「1番を打つ」とかなり強く意気込んで打撃力アップに取り組んできた。現時点では双方の思いが一致していることになる。
状況に応じた役割を求められる2番打者。
では、2番打者の穴は誰が埋めるのか、という話になってくる。
2番打者は難しい。
少々乱暴な言い方をすれば、1番打者はとにかく塁に出ることを考えていればいい。しかし、2番は状況に応じた役割が求められる。送るのか、打つのか。後者にしてもどの方向にどんな打球を打つのか。もしくは見送って盗塁を助けた方がいいのか。とにかく高い野球偏差値と冷静さがなければ務まらない。
それにはある程度の経験が必要だろう。今宮といえば送りバントの名人だ。'13年と'14年に現在のパ・リーグの最多タイ記録となっているシーズン62犠打を誇るなど、26歳の若さにして通算270犠打を積み重ねている。